第12話

 翌日の事である。

 朝日が昇ると共に、ある軍勢が王城へと押し寄せる。

 彼らの身に纏う鎧は市販で買えるものであるが、それでも上等な物であり、皆統一して纏っていた。


 彼らの名は次期国王となる無頼の徒、ラーテンに対して反旗を翻さんと企んでいた叛逆の者達であった。

 彼らはその目的の為、飽くまでも密やかに、水面下で動いていた集団ではあったが。

 だが、彼らの指導者たる人物がラーテンの元へと向かい、そして一日経って戻って来なかった場合には組織の立て直しを頼んでいたのだが……、彼らは指導者の死を悟ると、組織を上げて決起したのである。


 しかし、城に到着した彼らの目に映ったものは……。


 給仕、大臣などの戦う術を持たない者達と僅かばかりの兵士だけであった。

 宿敵の姿はおろか、王家の人間が一人もいない。


 戸惑う彼らではあったが、ある広場で彼らの指導者たるウイルを発見する。

 既に事切れ、躯が横たわるばかりであったが、その身から流れ出た血と周りに倒れ伏す騎士達を見て、彼らは悟った。

 

 悪は討たれた。我らが勇士が勝利を収めた、と。


 亡骸なきがらを丁重にほうむる為に、彼ら早々に城を立ち去っていった。

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