第10話 仲間をたくさん増やしてやろう

「じゃあ、お前たちもアンゴラージたちと協力して、ここまで外の魔物をどんどん誘き寄せてくれ」

「「「「「「わん!」」」」」」


 俺が命じると、ポメラハウンドたちが威勢よく駆け出す。


 さらに俺は、ダンジョンへの出入り口を四つに増やした。

 こうすることで、より外の魔物を引っ張ってきやすくなるはずだ。


「あたしが大忙しなんだけど!?」


 涙目になるアズを余所に、俺は拡張作業に勤しむことに。


「この場はアズに任せればよさそうだし、その間、俺はもっとダンジョンを広げていこう」


 ――【穴掘士】がレベル9になりました。

 ――スキル〈穴塞ぎ〉を獲得しました。


 その途中、何度か身体が軽くなったような気がしたが、システムに訊いてみてもよく分からなかった。


「ふぅ、ひとまずこんなところかな」


 作業に熱中していた俺は、ひと段落ついたところで息を吐く。

 とりあえず最初に思い描いていた形に、ダンジョンを作り上げることができたのだ。


 マップを見れることができるので、俺自身は迷子になるようなことはないのだが、一応、分かりやすい構造にしてみた。


 簡単に言うと、漢字の「目」のような形状だ。

 その外側にくっ付くような形で幾つか部屋を設けて、通路から出入りできるようにしてある。


 それが一階層分だ。

 さらにこれとまったく同じものを層状に並べて、全部で三つの階層にしてある。


 それぞれの階層は階段での行き来が可能だ。

 段差をつけながら掘ることで、階段は簡単に作ることができた。


 トイレなどのある生活スペースは一番上層に置いた。

 逆にダンジョンコアは最下層に移動している。


「って、ダンジョンなのに分かりやすくしてどうすんのよ!? 普通、侵入者が迷うようにするもんでしょうが!」

「まぁまぁ、これはあくまで暫定だから。ここからもっと広げていくし。てか、また罰を喰らう羽目になるぞ?」

「っ……」


 激怒しているアズを落ち着かせつつ、俺は作業中に貯まったポイントを使って魔物Cを作成してみた。

 15ポイントを消費して生まれてきたのは、エナガルーダという鳥の魔物だった。


「小さっ!? これのどこがガルーダよ!?」


 体長はせいぜい五十センチほどの、モフモフした丸い鳥である。


「いや、鳥にしたらむしろ大きい方だろ」

「小さいわよ! ガルーダは全長二十メートルくらいある巨大な鳥なのよ!?」

「ガルーダじゃなくて、エナガルーダだって」


 ちなみにガルーダは伝説の怪鳥らしい。


 壁から生えてきたエナガルーダは、翼を広げて軽く飛翔すると、俺の肩に止まった。


「くるるる」

「ポメラハウンドに負けじと賢そうだな。よし、試しにこのダンジョン内を一周してきてくれるか?」

「くるるる」


 俺の命令をすぐに理解したようで、エナガルーダが肩から飛び立つ。

 飛行するにはそれほど広い通路ではないのだが、壁にぶつかったりすることもなく、かなりの速度で舞いながらあっという間に見えなくなってしまった。


 マップで追跡してみると、エナガルーダは一切迷う様子もない。

 やがてこの階層をぐるりと回って、飛んでいった方とは逆側から戻ってきた。


「くるるる」

「よしよし、やっぱり賢いな」


 再び俺の肩に止まったエナガルーダの身体を撫でてやる。

 すると嬉しそうに、ぶるぶるっとモフモフの毛を震わせた。


「しかも可愛い。最高だな。よし、仲間をたくさん増やしてやろう」

「くるる~」


 そうやってダンジョンを大きくしながら、ポイントを消費していると、


『おめでとうございます! レベルアップしました! 新たな機能が追加されました』


 どうやらレベルが3に上がったみたいだ。

 新しい機能が追加されたようなので、確認してみよう。


-----------

 ステータス

 マップ

 迷宮構築

 魔物生成

 トラップ生成

-----------


「トラップが作れるようになったぞ」

「やっぱりダンジョンって言ったら、侵入者をぶち殺す凶悪なトラップよね!」


 アズが鼻息を荒くしながら物騒なことを言う。

 今までの傾向から考えて、果たしてそう上手くいくだろうか?

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