第10話

マリウポリ奪還作戦は無事成功してウクライナ軍と自衛隊はそれぞれ次の役目を実地する為の準備を行なっていた。



しかし此処で大問題が発生した。ドネツクとヘルソンにいたロシア軍がマリウポリとの通信が途絶えた事に気づき急いで確認のための兵力を出してきた。ヘルソンのロシア軍はウクライナ本軍と交戦中な為殆ど来なかったがドネツク側のロシア軍はヘルソンへ元々向かっていた応援用の兵士達だった為、プーチン大統領の部分動員令によって動員された動員兵で練度はもちろん装備や士気もあり得ないくらい酷かったが兵数だけは脅威だった。この応援部隊は約1万人でウクライナ軍と自衛隊の合計兵力は3000人ほど。要は彼らは3分の1しか兵力がないのだ。更に捕虜も居る。かなり危険な状態だった。更に運の悪い事にウクライナ軍と自衛隊は今まで一度も合同軍事演習などをしたことがなくてこの戦争はいきなり本番だった。だから意思が統一されていたといえど其々が単独で同じ兵数で動く時よりは連携に苦労していた。何せ彼らの共通語は英語しか無く、それぞれの母国語は全くと言って良いほど通じない。またどちらも海軍に属していて水陸機動隊はともかくウクライナ軍側は陸での戦闘は本業では無いし実際は敵地に一つ孤立されているような状態で周りからロシア軍に囲まれたら直ぐに大敗する危うい状況だった。



ただしとても不利でも彼らが勝つ可能性はまだ存在した。それはまず海自が無事にクリミア大橋をロシア軍が通行中に落とすこと。それによってロシア軍には多数の犠牲者が出るだろう。更にヘルソン市を始めとするドニプロ側西岸に駐留しているウクライナ軍部隊が一刻も早く渡河作戦を成功させて東岸に渡り、ロシア軍を打ち破ってヘルソン側から異変を察知してきているロシア軍部隊を背後から破る事だ。それによってロシア軍の加勢も防げる事になる。またそのままマリウポリに来れれば補給戦も確保でき、ウクライナ海軍、海自は大分安全になる。ただもしもの場合はどちらも船に乗ってきている為船でオデッサまで撤退する事は可能だ。




もう一つはザポリージャに駐留して現在原発に駐留しているロシア軍を包囲して孤立化させ、ザポリージャ州内からロシア軍を追い払おうとしている部隊がマリウポリまで当初の予定と少し違うが予定通り来てマリウポリとザポリージャを繋げることだ。このヘルソン方面とザポリージャ方面からの援護が1番現実的だがドネツクにいるウクライナ軍が大進歩していまマリウポリに向かっているロシア軍を引き戻す事もあり得ないことはない。但しこれはウクライナ、日本を始めとする西側陣営の努力だけでは無くロシア軍の上層部の決定も関係する為ほとんど現実的ではない。そして一万人の部隊は普通だったら今日中に着くが様々な道路などに地雷を置き、鉄道も破壊した為単純計算だと3日後に到着予定だ。ただし無理して地雷原を突破するなどを行い、大きく数を減らしてきた場合はもっと早くつく可能性も存在はし続ける。このマリウポリ防御戦の結果がどうなるのかは未知数だ。




いくら酷いロシア軍といえど数の圧倒的有利によって勝つ可能性もあるし、数で圧倒的不利だが知恵や練度や地理そして他の部隊の援護、更にそもそも有利な防衛側のウクライナ、日本連合軍の勝利の可能性もあり得る。そして戦争は徐々に最大で勝負の行方を決める決戦に近づいていた。




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