第117話 入れ替わりの事実
前書失礼します。
本日2話目ですが、116話は投稿予約ミスでしたので、117話しが本日分です。
ルランド公国には国立の魔法学院がある。
しかし、アルカン王国には規模の小さい私塾しかない。
だから、アルカン王国の王族貴族の者で魔力のある者はルランド公国に留学させることになっている。
だが、残念ながら国力の大きい国に、規模の劣る周辺国が人質代わりにその国の学舎へ通わせる側面を持ち、周辺国の中で最大なのがルランド公国だった。
そして、政争を避ける形で魔力適正に恵まれたアイリーンは、逃げるようにルランド公国に留学していたが、3年ほど前からアルカン王国の現国王の健康状態が悪くなり、上級学校に通う段階で護衛を兼ねていた侍女と入れ替わった。
それらは父の手筈で、身の危険を訴えたアイリーンの手紙から手を打ったと。
それで髪の毛の色は嘘だと道中話してきた。
どこから漏れるか分からないから伏せてきた話だ。
身に付けている指輪はペアで、装着している相手の見た目に変わる。
だから違和感があった。
今のハーニャの見た目は身代わりになっている侍女のそれだ。
また、注意深く指を触れば指輪の存在に気が付くが、その特性から体の一部に擬態しているから、疑って見ない限りまずもって分からない。
そう、今のハーニャの見た目は、幼い頃のセルカッツの記憶から大きく異なっている。
一応父から12歳時の肖像画を渡されたが、やはり全く違う。
記憶にある姿が大きくなったのと違う。
ハーニャが興味深いことを言っていた。
「そのね、セルは大きな胸の子が好きでしょ?胸の大きさが今は分からないの。もしも小さかったり、好みの形じゃなかったらごめんなさい。今、この指輪は外せないの。外すと突然本来の姿になってしまい、面と向き合って外す以外は、死んだものとすることになっているの」
見た目のことはスタイルもそうなるのだとか。
痩せ具合は反映されないが、胸の大きさやウエストの細さだけは反映されるのだとか。
だから、今の自分の胸の大きさが分からないと。
「もちろんそんなのは気にしないよ。別におっぱいと結婚する訳じゃないよ。体は二の次だよ。君の魂は見た目が変わっても変わらないだろ!」
などと言ってみた。
ただ、俺の気持ちがどうなるか正直分からない。
ハーニャを愛している。
だから指輪を外し、元に戻っても問題ない。
アイリーンの中身はハーニャなのだから。
だけど、影武者を見てどう思うか?
アイリーンの見た目なら問題ない。
距離を置けば良い。
しかし、指輪を外したら?
ハーニャの見た目で、声質も変わらない。
だけど、中身が違う。
もし俺を見て毛嫌いし、暇を頂きますとか言われたらどうしよう?
頭で大丈夫だと分かっていても、ハーニャとして愛している気持ちがそのままになるのではと。
こればかりは本人達を見ないと分からない。
ハーニャの見た目がアイリーンになって、本当に当人だと理解できるか?少なくとも目の前で変化を見ないとな。
だからほくろの位置とかを含くめ、俺が見たのは影武者の体だ。
筋肉量や身長と体重は見た目とは関係ないので、いきなり身長が変わった!となるようだ。
そうそう、何とか出発前に車輪にゴムを巻く形で塗布したら、細かい振動が少なくなり、かなり快適になったらしい。
俺は馬上の人だからわからないけどね。
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