第42話 準決勝セルカッツ編とオッズ
俺は軽装だが相手はチェーンメイルを着込んでいた。
どうやら騎士見習いだ。
俺の紹介が行われると黄色い歓声が沸き起こる。
そちらの方に手を振ってやったが一部の女性は興奮していた。
あれは私に手を振ったんだと。
しかし、俺はウルナさんの所の女の子に手を振ったんだ。
その姿を見掛けたから、応援ありがとうね!そんな感じだ。
10歳位の子達にはおにぃちゃんと呼ばれた。
ウルナさんが直そうとしたが、中々良い響きにそのままにしてもらった。
「軟弱な奴め!」
「知り合いの女の子が応援してくれているから手を振ったんだけどな。随分と重そうだな!そんな鈍重な奴の剣が当たる程甘くないぞ!相手が悪かったな!」
「ぬかせ!」
「・・・始め!」
俺が煽っていると開始の声が発せられた。
しかし、奴は俺が突っ込んでくるのを待っているようだ。
こいつの名前は何と言ったか?
ヘルムをかぶっているから顔つきも良くわからないが、俺より少し小さい。
「どうした?さっきの威勢は何処に行ったんだ?」
歯噛みして俺が来ないので焦りが見える。
ただ、カウンタータイプは厄介だ。
万が一があるからな。
さてどうするか?
選択肢は2つあるが、決勝の相手には通用しない方の手を使うか。
ギフト光の使い方がようやく分かってきたので、それを対人戦で試す。
かなり弱く魔力を注ぎ込むんだ。
「ギフト発動!」
目に魔力を一瞬だけ注ぎ込み、魔力をつぎ込むのをストップした次の瞬間再び注ぎ込みまた止めるを1秒間に5回ほどしたんだ。
すると俺の目から凄まじい光がババババと点滅状態で迸り、闘技場が光の渦に包まれる。
それが3秒ほど続く。
近くでモロに見た奴は目がぁ!と唸る。
目を押さえてのたまうやつにお構いなく剣を振り、剣を落とさせ回し蹴りで地面に転がす。
そして拾った剣とでクロスにして首元に突き立てる。
司会の回復は早かった。
何が起こったか観客に説明していたんだ。
勿論俺の勝ち名乗りも。
実戦では中々使えない。
味方も巻き込むからだ。
また、隣のリングも決着した。
俺はこれをフラッシュと呼んでいるが、フラッシュの光の影響を受け、一時的に視力を失い回復する前に盲目の戦士?にあっさり倒されていた。
手の内の1つを晒そうとしたのは、決勝で当たると思う相手が盲目だからだ。
それは怪我によるから、ひと目でわかった。
あの傷がなければ嘸や美形なんだろうなと思う。
実戦での問題点を確認したくもあったから丁度よい実験の場にしたんだ。
俺の対戦相手は何が起こったのか理解できず、お付きの者が起こすまで涙を浮かべその場に転がったままだった。
俺は開始位置に戻り一礼してその場を去った。
決勝は翌日なので、この日は大会主催者が派遣した警備員と共に宿に。
元々宿は大会参加者のみしか泊まれなく、それ以外は入れない。
唯一入れるのは、付き人として登録した人達のみだ。1人につき2人なので、ウルナさん達の所から10人来れる。
短い時間だが、宿の食堂で食事を振る舞う事にした。
子供達にお土産の料理を持って行って貰うのも忘れない。
お願いしていた物のサンプルをいくつか受け取ったり、準備状況の報告をウルナさんから受ける。
計画からはやや遅れているが想定内だし、焦らなくても良いと伝える。
使うのは最終日だ。
ご丁寧な事に部屋の前には歩哨が立つ。
これは賭けが行われている事から、特に対戦相手との接触を防ぐ為だ。
八百長の可能性を潰す為だ。
しないけどね。
決勝トーナメントの時に賭けは済ませている。
当日のとは違い大々的にやっており、各種目の優勝者や連勝式で1位と2位を当てるのもある。
勿論連勝式が1番リターンが高くなる。
ウルナさんに俺のお金の賭け方を指示して渡した。
予想しやすかったのはやはり剣だ。
あの決勝で当たる奴のみ強者だった。
しかも決勝まで当たらない事が分かったから、俺の付き人に俺が1位で盲目の剣士が2位となるのに持ち金の半分をと指示した。
残りは出場メンバー全員分のを各々1位の単勝をばらけて買ってもらう。
因みに単勝だが、俺は6倍、盲目の戦士が5倍だ。
目が見えない奴は決勝まで行けないと思われたようだ。
ハーニャ 6倍
タニス 8倍
メイヤ 7倍
ネイリス 9倍
1番低い者で3倍だったから、俺が優勝するとは思われていなかったらしい。
もっとも予選はかなり実力をおさえたり、まぐれ勝ちに見られなくもない戦い方で、オッズを操作してみたんだ。
俺が賭ける中で本命となる連勝だが、決勝には盲目の剣士が残ると確信していたが、他は読めなかった。
因みに倍率は25倍だった。
アルテイシアさんの優勝は10倍らしいから、見た目だけでかなりの者が判断しているのだと思われる。
ウルナさん達にも自由に賭けてね!としてお小遣いを渡しておいたけど、半分はネイリスへの応援として注ぎ込んだんだと言っていたな。
ネイリスは9倍だから彼も評価は低かった。
本命の賭けとして俺の単勝に殆ど賭けたのだとか。
そうそう、俺は間違って出されたお酒を飲んで潰れてしまい、どうやってベッドに辿り着いたか分からなかった・・・
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