第40話 準決勝戦メイヤ、タニス編
俺達はと言うか俺的には軽めだったつもりだが、周りの者がドン引きするようなウォーミングアップをしていた。
ソロソロ準決勝(槍)が行われるので切り上げ、最初に戦うメイヤの応援となった。
メイヤの相手は本当に同い年か?と思う筋骨隆々な奴だった。
「ひゅー!こりゃまたえらいべっぴんさんだな。きっとこれまでの相手はその見た目に油断したんだろうな。だが俺は違う。例え見目麗しい女だろうが、敵として眼の前にいるならば全力で倒す!」
女を見下し、子供を生むだけしか能がないと思っている奴が女に向ける目でメイヤを値踏みして舌なめずりをしている。
下衆だ。
あっ!珍しくメイヤの機嫌が悪い。
相手の言葉に返答をせず、ゴミを見るような冷たい目をしている。
こんなメイヤは初めてだ。
審判が開始を告げると男は槍を両手で持ち上げ頭上で回し始めた。
示威行為だろう。
「おらおらおらおら!どうした!ビビったか?来ないならこっちから行くぞ!」
メイヤは槍を持ち姿勢を低くして駆け出した。
槍の間合いに入った瞬間、奴の目からは忽然とメイヤの姿が消えただろう。
「終わりです!」
次の瞬間、メイヤの姿は男の頭上にあり、槍を突き入れる。
男が回転させている槍の上から突き入れた槍は男の後頭部を叩き、回転する槍に弾かれるようにメイヤはその場を離れ、涼しげな顔で立っている。
駄目だぞ!スカートが短いので観客はともかく、俺とネイリスにはバッチリ白の下着が見えたぞ!
可愛らしいが、引き締まったお尻の形が露わに。
普段体の鍛え方を見るのに3人の裸は散々見ているし、エロさはないが触れてもいる。
でもこれはまた違うんだ!
見えては行けないのに見えちゃったときのドキドキが発生するんだ。
「か、かっこよいっす!」
ネイリスはお尻じゃなく、メイヤの戦いを見て興奮しているな!
フラフラとなっているが、メイヤは背中を向けて開始位置に戻る。
戦闘中に敵に背中を向けるなんて!と思うなかれ。
開始位置に立つと奴は膝を付き、そのまま前のめりに倒れ、確認した審判が手を大きく振り終了を告げた。
一瞬の事だったが、メイヤは縮地を使った。
レベルが上がると前方にではなく、上に大して距離を縮める方向に発動する事が出来る。
しかし、余り知られていない小技だ。
だから縮地を使ったと思う者は少ないだろう。
勝ち名乗りを受けるとメイヤは対戦相手に1礼のみし、リングを出てもう1つの戦いをじっと見ていた。
こちらは冒険者風の奴と、兵士風の奴がガチで槍の応酬を繰り広げ、兵士風の奴が勝った。
次は弓だ。
今度は女の子だったが、7射目で相手が外し決着した。
可哀想なくらいあがっており、本来の実力を発揮できなかったんだろうな。
次はタニスだ。
なんと相手はゴリラ女だ!
タニスより少し大きく、かなりゴツい。
鼻息も荒く、胸を叩いて威嚇すらしている。
見たくはないがいわゆるビキニアーマー というのを着用しており、そこから辛うじて女だと思われた。
「まためんこいのが来たね!アタイの魅力には敵わないけど、アタイの次位には可愛いじゃないか!さぞ揉み堪えのあるおっぱいのようだねぇ!あんたはどんな声で鳴くんだい!」
うわっ!痴女だ。
捕まったら最後、しゃぶり尽くされ、あそこの毛すら毟り取られかねない。
まあそんな事にはならないけどね。
タニスは表情1つ変えずに開始を待つ。
「ぐふふ!掛かって来な!先に殴らせてやるよ!倒せなかったらそのまま押し倒してやるよ!裸体を晒してやるよ!」
開始の掛け声と共にタニスは駆け寄り、回転回し蹴りを顎に決める。
相手は舐めきっていたから、攻撃してきたのをくらいつつ、そのまま捕まえようとしていた。
しかし、この世界では顎が人の急所だとは知られておらず、経験から何となく知っている者がちらほらいる程度だった。
このゴリラ女も知らない者だったようで、顎に蹴りをくらうもそのままタニスの身体を掴みに行った。
しかし、思うように体が動かず、膝から崩れ・・・倒れ込んだ。
俺は色々な急所を突く方法を教えており、タニスはその1つを実践した。
口から泡を吹いており、審判は即時にタニスの勝利を告げた。
運べないので治療班が来るも、悪臭から近寄らない。
何故なら失神した時に失禁したからだ。
糞尿まみれで、暫くそのコートは使用を中断せざるを得なくなり、その後の進行は1面のみを使う事になり兼ねなくなった。
タニスは相手の無様な様子に戸惑いを見せていた。
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