(三)-5

 腕を組み、なんて答えていいのか、全く予想だにしていなかった事態にどう切り抜けるべきなのかと和佐は考えた。真紀奈のことは好きだが、それはその好きではなく、幼なじみとしての好きなのだ。

 そんなおり、姉ヶ崎妹子に告白したとき、返事を保留にされたことをふと思い出した。

「保留、保留にしてくれないか?」

 和佐はとっさにそう言って、この場を取り繕った。

 真紀奈は「わかった。じゃあ、とりあえず部活に戻るね」とゆっくり歩いて教室を出て行った。


(続く)

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