過ぎ去った四月について


田園と蔵と広告看板が

左から右へ次々流れていって

若々しい緑をぼんやりと眺めている四月。


さようならをするために

北の地へと向かう列車の中で

私は何を思っていただろう


山桜が咲いていて

山吹と躑躅も見た卯月。

列車の中で私はただ見るでもなく

詩集をひらいていた


さようなら、と思いながらも

祈りながらも

悼みながらも

全部画面を隔ててるみたいだった

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