第9話

9月1日に河原津漁港かわらずのみなとで発生したレイプ殺人事件で動きがあった。


9月3日の朝、5人の容疑者の男のグループのうち4人の男が家族や職場の上司に付き添われて警察署に出頭した。


その直後に、彼らは殺人罪でケーサツに逮捕された。


リーダーの男は、事件直後に逃走して行方をくらませた。


愛媛県警けんけいは、リーダーの男を全国に緊急手配した上で逮捕状を発行した。


4人の容疑者の男たちは、ケーサツの取り調べに対して事件を起こしたことを認めた。


彼らは『誰でもいいから女を犯したかった…』とキョウジュツした。


女性職員さんは、行き渡りばったりで連れ去られた…


…と言うことであった。


4人は、身元がばれたら恐いので武方たけかたさん方の運送会社の従業員さんたちの犯行にするために工作した。


取り調べ開始から数分後に、彼らのひとりがリーダーの男のことをしゃべった。


愛媛県警けんけいは、リーダーの男は暴力団組織の構成員であると発表した。


その上で、リーダーの男に指示を出した組長の男と構成員の男20人を全国に緊急手配した。


(緊急手配された暴力団組織は、県外にある危険暴力団組織であった。)


亡くなった信金の女性職員が組長の情婦レコであったことが判明した。


そのまた上に、信金の支店長が組長と交友関係があったことも判明した。


そのまたまた上に、副支店長の妻が組長からカルティエの高級ジュエリーと高級ウォッチをもらったことが明らかになった。


そのまたまた上に、支店長が組長の息子を今治市内にある私立高校のスイセン入試を受ける前に、組長に変わって理事長夫婦に20億円を渡していたこともあからさまになった。


これにより、さわぎが拡大した。


その一方で、武方たけかたさんが経営している会社では例のレイプ殺人事件が原因できわめて危機的な状況におちいった。


この時、武方たけかたさんは従業員さんたちの雇用保険と退職金の申請書をぜんぶ破棄した。


武方たけかたさんが我に返った時には、取り返しのつかない事態におちいった。


6人の従業員さんたちは、雇用保険の証書などが武方たけかたさんによって破棄されたことに対して激しい怒りを抱いた。


武方たけかたさんは次の委託先を探したが、次々と断られた。


そんな時であった。


9月6日の夕方頃に、香川県綾川町で深刻な事件が発生した。


現場は、ことでん滝宮駅の近くにあるイオンモールの付近にある家電量販店のイベント広場で発生した。


この日、香川県を中心に活動している女性ヴォーカルグループの新曲キャンペーンのイベントが開催されてた。


握手の時にノコギリを持った男が乱入して、女性のメンバー二人がケガを負った。


男はスタッフさんたちに取り押さえられたあと、ケーサツに逮捕された。


負傷したメンバーふたりは、軽傷で生命いのちに別状はなかった。


香川県警けんけいに逮捕されたノコギリ男は、武方たけかたさんの会社をクビになった従業員さんであった。


容疑者の男は、自暴自棄におちいった上に意味不明の言葉を言いまくるなど…気持ちが不安定になっていた。


このため、ケーサツは容疑者の男の取り調べを取りやめた。


ケーサツは、このあとすぐに容疑者の男の留置鑑定を上(香川県警の本部)に申請した。


これにより、容疑者の男は精神鑑定にかけられた。


刑事責任能力の有無は、3〜4ヶ月後に判定される見込みである。


さらに、同じ日の夜に深刻な事件が発生した。


武方たけかたさんに解雇された従業員さんたち5人が今治市内の酒場街で乱闘事件を起こしてケーサツに逮捕された。


ニュースを聞いた武方たけかたさんは、大パニックを起こした。


武方たけかたさんは、義兄あにに対しても引き止め工作をした。


しかし、義兄あには『帰れ!!』と言うて武方たけかたさんを追い出した。


武方たけかたさんは、先にやめた13人の従業員さんたちに会って、復職してほしいと頭を下げて説得した。


しかし、武方たけかたさんは13人の従業員さんたちから集団リンチを喰らった。


従業員さんたちの引き止めが大失敗に終わったので、武方たけかたさんは裁判所に破産の手続きを申請することにした。


9月8日の昼過ぎであった。


アタシは、空いている時間を利用して周桑病院へ行った。


ところ変わって、義母が入院している病室にて…


この時、義母は激しくやせ細っていた。


病状がさらに悪化したようだ。


担当の医師の話によると、義母は9月7日頃に血圧の最大値が一時40以下にまで低下したと言うた。


もう、そんなところまで病気が進行していた…


それなのに、義弟おとうとは女と一緒に行方不明になった…


あいつもあいつで、やくざの愛人の女を連れて逃亡中である。


キッチンドリンカーにおちいった義父は、心身ともにボロボロになった。


さらにそのまた上に、よくない知らせが入った。


義父が保証人になっていた友人の借金免除の申請が脚下された。


それは、義父に対して『甘えるな!!』と言うことであった。


アタシは、あいつの家とリエンしたから助けてくれと言うてもイヤ!!


ゼーーーーーッタイにイヤ!!


9月9日の昼前のことであった。


松山から裁判所の執行官6人が、あいつの家にやって来た。


裁判所の執行官が家にやって来た…


…と言うことは、家と土地を強制的に差し押さえると言うことである。


この時、義父が金属バットをふりまわして暴れていた。


義父は、6人の執行官に対して『帰れ!!ここはワシの家だ!!』と言うて暴れ回った。


6人の執行官は『また出直します!!』と言うてスゴスゴと帰った。


義父は、高嗤たかわらいしながら『ざまーみろ!!裁判所クソバカ!!来てみるなら来てみろ公務員クソバカコネやろう!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!』と言うてかちほこった。


しかし、近所の住民のみなさまは冷めた目つきで見つめながらつぶやいた。


雄一郎さんのお父さまは、頭がクルクルパーじゃないの…


だからシングルのきょうだいに嫁はんが来ないのよ…


そして、9月18日…


この日、アタシはよくない知らせを受け取った。


アタシのギャラクシー(スマホ)に電話がかかってきた。


電話は、病院からであった。


それによると、義母の容態が悪化したので、大至急来てください…と言うことであった。


デリヘル店の仕事を終えたアタシは、バスを乗り継いで周桑病院へ向かった。


アタシが新居浜を出発してから3時間後のことであった。


ところ変わって、周桑病院にて…


アタシが病院に着いた時、義母はきわめて危ない状態におちいった。


義母は、朝6時53分頃に容態が急変した…


病室には、義母と義兄あに武方たけかたと担当の医師と数人の看護師さんたちがいた。


この時、アタシは気持ちが変わったので館内に入ることをやめた。


アタシは、義母の最期さいごをみとらずに新居浜へ引き返した。


アタシは、あいつの家とゼツエンしたから関係ないわよ…


それなのに、義母の最期さいごをみとれなんてムジュンしてるわよ…


ところ変わって、病室にて…


義兄あには、悲しげな声で義母を呼んでいた。


「お母ちゃん…」

「けっ…桂一郎…ごめんね…おかーさんとおとーさんが待てばお嫁さんが来ると言い続けていたばかりに…武方たけかたさん…雄一郎は…としこさんと離婚させまする…ごめんね…お嫁さんほしかったのね…ごめんね…」

「フザケルなよ!!フザケルな!!」

「桂一郎さん、落ち着いてくれ!!頼む!!」

「フザケルな!!オンボロ経営者!!」


義兄あにの言葉に対して、武方たけかたさんは土下座して泣きながら許し乞いをした。


「許してくれ!!私が桂一郎さんの結婚を止めたのは…桂一郎さんにはたくさん仕事を覚えてほしかったからだよ…お嫁さんのことについては雄一郎さんに万が一が発生した時にとしこさんと再婚できるようにするために手はずを整えると決めた…」

「フザケルな!!ぶっ殺してやる!!」


(ガシャーン!!)


義兄あには、かたいもので武方たけかたさんを殴りつけたに。


その頃、アタシは新居浜駅行きのせとうちバスに乗っていた。


アタシは、窓にうつる風景をながめながらつぶやいた。


冗談じゃないわよ!!


あいつのシングルきょうだいたちにたらい回しにされるのなんてごめんだわ!!


あいつらの家の親類縁者たちは、一生うらみ通してやる!!


アタシは、あいつの家とリエンした後はキャリアが全ての人生で生きて行くと訣意けついかためた。


義母は、夕方頃に心不全で亡くなった。


この時、病室はきわめて危険な状態におちいった。


義兄あには武方さんをボコボコに殴り付けたあと、義母の遺体にナイフでズタズタに切り裂いた。


その後、病院を飛び出して行方不明になった。


その日の夜おそく頃であった。


武方たけかたさんが、デリヘル店にある女の子の待機部屋へ土足で上がり込んだ。


武方たけかたさんは、アタシにあいつのの両親の願いをかなえてくれと言うた。


シルクのキャミソールとレギュラーショーツ姿のアタシは、メイクを整えながら武方たけかたさんに言うた。


「あのね、アタシはあいつの家とはとっくにリエンしたのよ!!あいつの家とリエンしたあとは女ひとりで生きて行くと訣心けっしんしたのよ!!」

「とし子さん、それは困ります…」

「帰んなさいよ!!」

「帰れって…」

「女の子の待機部屋に土足で上がり込むなんてヒキョウよ!!」


アタシは、よりし烈な怒りを込めて武方たけかたさんに言うた。


「アタシは!!クソッタレのきょうだいたちにたらい回しにされるのはゴメンよ!!」

「怒る気持ちはよくわかるけど、桂一郎さんのお母さまが『悪かった…』とあやまっていたのだよぉ…桂一郎さんのお母さまは、天国へ行ってもつぐなうと言ってるのだよ。」

「はぐいたらしいわね!!アタシがクソッタレのシングルのきょうだいと再婚しないと困る理由は何なのよ!?」

「お願いです…雄一郎さんのご両親は…」

「あんたの泣き言は聞きたくないわ!!義父母が無関心を通し続けた結果、義兄あににお嫁さんが来なかったのよ!!それがまだ分かっていないわね!!」

「としこさん、桂一郎さんの再就職のお世話をします…桂一郎さんが結婚できるように段取りを整えます…」

「イヤ!!ことわるわ!!」

「とし子さん…」

「お願いです…桂一郎さんとの再婚をショウダクして下さい!!」


アタシは、するどい目つきでにらみつけながら武方たけかたさんに言うた。


「そんなに義兄あにが結婚したいというのであれば、あいつに女を取られた組長の娘を選びなさいよ!!」

「それはダメだ!!」

「アタシとあいつを結ばせたのはあんたよ!!あいつが犯したヤクザがらみのもめごとは、仲人であるあんたがオトシマエつけるのよ!!今すぐに組長のとこへ行きなさいよ…組長の前で指つめるなりしてわび入れなさいよ!!それよりも早く帰んなさいよ!!」


アタシは、冷めた声で武方たけかたさんに言うたあと待機部屋から出ていった。


武方たけかたさんは、やりきれない表情でぼうぜんとたたずんだ。


クソッタレのシングルのきょうだいにたらい回しにされるのはイヤ!!


アタシは、キャリアが全てで生きて行くと訣意けついかためた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る