第30話柊にストーカー現れる①

翌日


「おはようございます」


「お~おはよう」


「柊さん、おはようっす!権田さん柊さん

昨日は、ありがとうっす!」


「いや、いい結婚式だったぞ!」


「本当!新郎が大泣きして良かったよ!」


「もう~それを言わないで、くださいっすよ!」


そんな、何時もと変わらない朝。

すると、一本の電話が鳴った。

外線だったので、柊が出た。


「はい、港署です」


「フフフ…柊悠里さん?」


「はい、あの~どちら様ですか?」


柊の合図で、権田と早川も受話器を取って

話を聞く。


「僕は、何時も君を見てるから、君は僕の

物だからね」


「は?誰?どういうつもり?」


「ガチャッ」


電話は切れた。

発信元は公衆電話からだった。


「柊どうする?公衆電話は、特定出来るから

近くの防犯カメラを、チェックして割り出すか?」


「いえ!まだ事件じゃ無いし、私の為に

時間を費やすのは、他の事件も有りますから」


「でも危ないっすよ!柊さんは、もう一人の

身体じゃ無いんすから!」


「え?私、妊娠して無いよ?何言ってんの?」


「違うっすよ!柊さんに何か有ったら

権田さんが、再起不能っすよ!」


(うっ!こいつは、どうして、こういう所は

鋭いんだよ!)


「そうだぞ!悠里、いゆ、柊、無茶するなよ

そして行動は、早川と常に共にしろよ!」


「はい!」


「はいっす!」


(賢介さんが、心配してくれてるんだ~

嬉しいな~)


柊は、変な電話より、権田の気持ちが嬉しかった。

それを口にする、早川も可愛いかった。

その日以来、仕事は早川と、帰りは権田が

家迄、送っていた。

そんな、ある日


「悪い!柊!俺は今日、会議が有るから

早川に頼むか?」


「いいですよ!あれから何も無いし」


「駄目だ!」


権田は柊を、早川の所に連れて行き、事情を

説明した。

すると早川が


「権田さん、柊さん、すみませんす!今日は

真理亜さんと大切な、約束が有るっすよ」


「大丈夫ですよ!あれから本当に何も無いん

だから」


「そうか?」


「大丈夫っすか?」


「大丈夫!じゃあ」


と、言って柊は、手を振って帰って行った。

残された二人には、不安しか無かった。

柊は駅から家迄、歩いて居ると、同じ歩調で

歩いて来る、気配を背後に感じた。


(え?私、つけられてる?嘘!)


歩くスピードを、早めると、やはりその歩調も、早くなる。

汗が滲む柊。


(もう少し行けば、コンビニが有るから

そこ迄、何とか)


柊は、コンビニを見付けて、直ぐに入って

タクシーを呼んで貰った。

一応、コーヒーは買う事にした。

柊が入ると、直ぐに若い男性が入って来た。


(この人かな?でも私、知らないな?)


そして、タクシーが来たので、店を出ようと

したら、その男性が


「柊さん」


と、声を掛けて来た。

柊は、血の気が引くのが分かった。


「どちら様?」


何とか聞き返すと


「僕ですよ、僕、忘れたんですか?」


「あの~何処かで、お会いしました?」


「忘れたんですね?これは、お仕置きですね」


ニヤッと笑う、その男性。

柊は、もう恐怖でしか無かった。

慌てて、タクシーに乗り込み、マンションに

着くと、急いで部屋に入り、鍵をして

チェーンを掛けた。

携帯を見ると、早川からの着信が有った。

掛け直す柊。


「柊さん、無事に帰ったんすね?」


「それが早川、後ろをつけられてて

慌ててコンビニに入って、タクシー呼んで

貰って、何とか今帰って来た所」


「大丈夫っすか!顔は見たんすか?」


「見たよ」


男との、やり取りを早川に言うと


「これは、権田さんに今日、泊まって貰う

べきっす!そんな鍵、壊そうと思えば

どうにでも、なるっすから!柊さん、ちゃんと、権田さんに連絡するんすよ!あっ!

柊さんは、遠慮して言わないっすね、僕が

するっすよ!権田さんが行く迄、気を

付けるっすよ!」


「うん」


そして、座り込む柊。

その間に、早川は権田に連絡をする。

丁度、会議が終わった所だった。

話を聞いた権田は


「何~よし!直ぐに行くから!」


と、血相を変えて、出て行った。

真理亜も心配して


「どうでした?柊さん?」


「ちょっと、大変かもっす!」


早川は真理亜に、事情を説明した。


「まぁ~柊さん、今怖いですよね!権田さんが来る迄、私達が行きましょう!」


「でも真理亜さん、今日は誕生日なのに?」


真理亜は、早川を見ると


「誕生日は又、来年来ます!柊さんは唯一

一人だけですから!さぁ、勇也さん、柊さんに家を聞いてください!」


「はいっす!」


そして早川と真理亜は、柊の家に行った。


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