諦めた男
彼女とは高二から付き合っている。告白されたから付き合った。嘘告とか流行ってたけど…別に好きな人もいなかったし、それはそれでネタになるかと思ったんだ。
嘘告なら半年も付き合う事は無いだろう。俺が彼女からの告白は本気だったと気付いた頃から彼女と会う機会が減った。今までの分を取り返そうと思ったけどタイミングが悪かったようだ。
しばらくしても彼女とは都合が合わなかった。クラスメイトの噂なんて1人が言い始めたらほぼ全員に知れ渡る。口の軽い奴がいるからな。彼女が他のクラスの奴と付き合ってるなんて噂もあった。本人は否定してたけどな。正直、今の俺達が付き合ってるかと聞かれれば微妙な距離になってると思う。
俺は彼女を誘うのは諦めた。多分、この時点で彼女の事を諦めた。だから昼も一緒に食べなくなったし、休憩時間も話す事がなくなった。
1人で帰ろうとすると彼女が他の男子と帰っているのを見た。…別れるか。まだ俺と付き合ってる事になってるみたいだし…
彼女とたまたま帰る機会があった。だから切り出した。他の男と帰りたいなら俺と付き合ってるのはデメリットだろう。だから別れようと。彼女は泣きながら立ち去った。
それから彼女とは話していない。彼女の噂を流した奴や彼女と一緒に帰っていた奴が何故か俺に謝りにきた。誤解だから彼女を信じてくれと。俺は信じられないと切り捨てて会話を終えた。お互いに時間の無駄だろう。
しばらくすると彼女が前に一緒に帰っていた男とまた一緒に帰っていた。あれで誤解ね…
1人で過ごしていると彼女が何回か話しかけてきた。俺はまだ君の事が好きだから話しかけられると辛い。だから話しかけないで欲しいと頼んだ。彼女はまた泣いていた。
帰りに見かける彼女はいつもあの男と一緒にいる。……やっぱり見るのは辛いな。今度から図書室で時間を潰して帰るか。
また彼女が話しかけてくる。何故そんなに話しかけてくるのかと聞くともう一度付き合いたいからだと。あんなのを何回も見せられて信用できるはずが無い。だから断った。
彼女と一緒に帰っていた男に呼び出された。彼女の近所に住む幼なじみらしい。俺とやり直す為に相談に乗っていただけだそうだ。
だから?幼なじみがそんなに大事ならお前らで付き合えばいいだろう。俺を巻き込むな。
お前は自分の彼女が…好きな女が幼なじみの男といつも一緒にいるのを見ても何も思わないのか?浮気を疑わないのか?
俺の言葉を聞いて男は肩を落として帰っていった。
それから彼女は幼なじみと一緒に帰らなくなった。俺に話しかける事もなくなった。彼女はきっと…二つとも手に入ると思ったんだろう。生憎と俺はそこまで寛容じゃない。だから…彼女の事を諦める事にした。
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