第5話
心の中だけで友達のように喘ぐ、甘くてせつない、男を誘う吐息を漏らしてしまう私。
声が出たなら、出せる勇気があったなら。それだけで。身悶えしたい。身体はでも、少し揺れて、胸が揺れる。指がくちゅり、と抜かれて。
どこまで触っていい?
愛しい男がいまさら承諾を求めてくる。
わからない
答えると指をやさしく、また差し込んで、ゆっくりと抜いて、それだけでこすれておかしくなりそう。私の上に覆い被さる彼。キスをされる。胸を揉まれ、友達がしてたのよりずっと喘ぎたくなるほどの狂いそうな激しさの中に。
やっぱりいたわりのある、優しくて、私という花をやさしく手折るのような男のセックス。とにかくやさしいとしか浮かばなかった。
もうわかった。つながるということが。こわいけれど、たぶん、彼の指より、少し太くて、かたいもの、肉の、棒を、私の中に。知識だけの世界から。
こわい
なにが。
この先が。でも、指でもっとしてほしい。わたしはどうすればいい?
ちなみに吐いてしまったのは危ない友達のセックス中の、アレをしゃぶる瞬間と、その行為。今はもう、絶対やらなければいけないものでもないし、静かに寝転がっていたっていい、体位がある、と教えてもらっている。彼が愛おしげにわたしの頭を撫でて。
いやだったら、いやだといってくれ。それだけだ。
男は服を脱ぎ出した。わたしが泣かないようゆっくりと。着古したコートはまだ着ていてそこからひとつひとつ、シャツ、ズボンとベルトは迷ったようだが。
見るのが怖いか?
シーツで、隠して、それか、いっそ、貴方のをよく見せて。
彼はシーツを巻いてから全部脱いでくれた。怖々と、彼のモノに触れようとする。触れていると、どんどん反応してくる。
どうして?
きみがおれのからだや舌、指で感じたのと同じだよ。
身体が反応してしまう。何度も痺れる。わたしは、おとこのひとも同じなんだと理解した。
口で、
言いかけて気持ち悪くなる。
彼が急いで、水、と思ったのか。しかしお水がないので近くのお酒を飲ませてくれる。やさしい。
無理しなくていい。それに。おれは、俺自身だけでお前を導きたい。
きみと言われたり、お前と呼ばれたり。彼の中がよくみえないけれど。お願いをする。冷めかけた熱が戻ってくる。一度にこんなに、体がカッとするお酒を飲んだことがない。
私の事、今夜愛して。
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