五十音順に映画を語る! ~頭に「あ」のつく映画タイトルといえば?~

雲条翔

第1話 頭に「あ」のつく映画といえば?

 皆さんは、頭に「あ」のつくタイトルの映画と言われて、何を思い浮かべますか?


「アイアンマン」? 「アベンジャーズ」? 「アナと雪の女王」?


 いえいえ。そんなメジャーなタイトルは語りません。


 偏ったシュミの私が紹介する、頭に「あ」のつく映画は……。


「アリス・クリードの失踪」です。


 原題は「THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED」。


 2009年のイギリス映画。監督はJ・ブレイクソン、出演はジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、エディ・マーサンほか。


 登場人物は、ほぼ3人のみ。


 誘拐される富豪の女性、アリス・クリード。気の強い女の子です。


 誘拐犯のひとり、中年男のヴィック。落ち着いていて威厳があるコワモテ。


 もうひとりの誘拐犯、青年ダニー。どこか頼りなく、そわそわしている若者。


 どんな話かと言いますと……。


 冒頭、ヴィックとダニーは、黙々と作業をしています。誘拐前の下準備です。

 家の窓に内側から目張りをし、防音壁を張り付け、車の内装も改造して誘拐仕様に……。

(十数分、ふたりが一切のセリフもなく淡々と仕事を進めるシークエンスは格好良いです。これから何が起こるのか、期待感を煽ってくれます)


 そしてふたりは、覆面をかぶって、金持ちの娘、アリス・クリードを路上で颯爽と誘拐し、車に乗せます。


 アジトに連れ帰り、監禁場所のベッドに縛り付け、アリスを拘束しました。


 動けないアリスの服をジョキジョキとハサミで切り始めるシーンなどは「おっ、なんかエロ展開か」と思わされますが、誘拐犯たちはレ〇プするでもなく、服を着せ替えてあげただけでした。どこか紳士的です。紳士は誘拐しないけどな。


 アリスの写真を撮影して、実家へ送りつけ、身代金受け渡しの準備など、作業を進めていきます……がッ!


 すこしだけ、すこーしだけ中盤前のネタバレをすると……なんと、アリスと、ダニーがグルなんです!


 ヴィックの不在時に、アリスとふたりきりになったダニーが覆面を取ると、アリスは超驚いて「誘拐犯ってアンタだったの! もっと早く言ってよ」みたいなムードです。


 えっ、お前たち誘拐犯と人質じゃないの? 以前から知り合いで、恋人同士だったの!?


 ある事情で父親からの遺産をもらえないアリスのために、恋人のダニーが、刑務所で知り合ったヴィックと共に誘拐計画を練ったようです。


 ビックリさせられる中、さらに隠されていた人間関係が次々と明かされ、状況が二転三転していきます。


 こっちとこっちが、え、実は裏でこっちも? で、こいつは裏切るの!? 

 目まぐるしく変容するパワーバランス、ハラハラドキドキで、先の展開が読めません!


 ちなみに、2019年に「ステラ 真昼の誘拐」というタイトルでドイツでリメイクされています。(Netflix配信作品)


 登場人物は、ほぼ3人。


 しかし、序盤だけでも見れば、最後まで目が離せなくなる誘拐スリラーの傑作。

 タイトルの「失踪」の真の意味とは……!?


 これは是非オススメの1本です。

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