古本

古本に振られていた手書きのルビ

柔らかく薄いがはっきりした鉛筆書きである

逐一辞書を繰って書いたような気配に

灰がちになった火桶と瓶底眼鏡を夢想する


20頁を越えるとルビは失せた

諦めたか無用と得たか

後者だったら良いと思う


顔も知らぬ友人よ 実は私も読めんのだ

それでも君と出会えたことで

ぬるい時間は詩となった

詩集は詩集を越えて

私の肉の一部となった

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