第5話

 ろうぜきこんとんのなか義経は進軍のをふかせみずからのばくしんさせた。ような状況で景時のかいせんは鶴翼の陣形をとった平家水軍の中枢へとまいしんしていった。かいせんさきに片脚をかけて威風堂堂としていた景時は「ふんぬ」といってみずからの手首を『やじり』で傷付けさんらんたる鮮血のによって『神』と『たまむすび』した。景時の頭上に巨大なる人間のすがたがあらわれる。『胎蔵界まん』にえがかれたれん色の皮膚で背後に円環状の火炎をえんいつたらしめ右手に白銀の剣をもたれ左手を鉄拳のかたちにしたまう天部『増長天』である。神州は天皇家をさんてんとする神道こそ国教かとおもわれたが神聖ぼうとくすべからざる推古天皇陛下の摂政たる聖徳太子の大乗仏教輸入および神仏すいじやくによって神道と仏教は陰陽をしようする関係にあったとおもわれる。なかんずく当時の源氏も平家も死後のだんをしらべるとおおよそ天台宗の古刹に埋葬されていることから源氏方も平家方も仏教のかみがみである『天部』とたまむすびするのも必然なのである。

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