　悪魔たちは各地で百鬼夜行していった。

　東欧（よー）羅（ろつ）巴（ぱ）では善の神アフラ・マズダの創造したる森羅万象を破壊するために存在する悪の神『アーリマン』があらわれて欧（よー）羅（ろつ）巴（ぱ）の大地に大（だい）干（かん）魃（ばつ）をおこして万（ばん）斛（こく）の黎（れい）民（みん）を餓死させた。同様に東欧（よー）羅（ろつ）巴（ぱ）にてアーリマンの末（まつ）裔（えい）であり三つの頭（とう）顱（ろ）と三組の牙と六つの眼球をもち百（ひやく）骸（がい）九（きゆう）竅（きよう）に巨億の害虫をやどす悪魔『アジ・ダハーカ』があらわれ百億にもおよぶ蠍（さそり）・蜥蜴（とかげ）・蛇・蟇（ひき）蛙（がえる）の群衆をばらまき欧（よー）羅（ろつ）巴（ぱ）各地の無（む）辜（こ）の黔（けん）黎（れい）たちをくいころしていった。インドでは破壊神シヴァの愛妻であり三つの眼球と四本の腕をもち髑髏（されこうべ）の首飾りをまとった黒い地母神『カーリー』があらわれ破壊の剱（つるぎ）によってインド中の無（む）辜（こ）の老若男女をきりさいていった。おなじくインドでは十の頭（とう）顱（ろ）と二十の腕をもつ悪の鬼神『ラーヴァナ』があらわれ二十の剱（つるぎ）をもって敬（けい）虔（けん）なるヒンドゥー教徒たちを殺（さつ）戮（りく）していった。尫（おう）弱（じやく）なる人類も沈黙していなかった。百戦錬磨の世界各国の陸海空軍は総力をなして悪魔たちと衝突していった。大（だい）干（かん）魃（ばつ）がおこっている東欧（よー）羅（ろつ）巴（ぱ）では魁（かい）偉（い）なる爆撃機がアーリマンへと絨（じゆう）毯（たん）爆撃をおこない巡洋艦ミサイルによってアジ・ダハーカに攻撃がおこなわれた。インドでは近代戦車群による一斉砲撃でカーリーを満（まん）身（しん）創（そう）痍（い）にさせ歩兵部隊の戦略的包囲網によってラーヴァナを断末魔にさせた。悪魔を相手にした人類の攻防戦は熾（し）烈（れつ）をきわめ双方に甚大なる被害をだしていった。