第3話 愛と炎
火竜とお別れした後、服も破れてたし今日は少し時間が早いが街に戻る事にした。
スキルショップに行って、式部がスキルで盗ったスキルで要らないものを換金。
どんな相手だったんだろう?
「
「なんかめっちゃ高価で売れた?」
「凄い数のスキル溜め込んでたみたいだからね♪今晩は私の奢りで肉行こう!」
「おー!」
「ににっ♪」
三人でお肉も食べて、お部屋でゆっくりする。
「雨に濡れたからちょっとお風呂入りたかったねー!」
「湯船は作れるけど、シャンプーとか流す場所がないねー♪」
「これだけ大きいなら温泉みたいな施設ないかなぁ?」
「明日探してみようか?それと鑑定眼でさっき貰った短剣と指輪鑑定お願い!」
「分かったにゃー!♪まず月花の短剣から…」
【精神切除】
心を斬る短剣。
攻撃力はないが、病んだ心を切り離す事が可能。
「ほほー、人助けに使えそう!」
「月花は優しいからねー♪じゃー私の指輪も!」
【終焉の契り】
この指輪を指に通すと切断しても別の指に付き、ありとあらゆる苦痛を死ぬまで与える。
「…ママ好きそう♪」
「あげたら駄目よ!うっかり指にしちゃったら洒落にならないから!」
「うんうん、明日売り払っちゃう!♪」
「明日はどうしよっかー…スキルショップは《社》の依頼もあるから見に行くけど…」
「まずは温泉探しかにゃー?♪」
「他の街も行ってみたいな!」
「空から見たら近くには無さそうだったけど…迷宮とか塔とかないのかな?♪」
「そういうのに挑むなら罠の感知や解除も欲しいねー!」
「それなら進んだとこまでセーブしたり、一発で脱出するスキルとかもあればいいにゃー♪」
「なんかRPGのノリになっちゃうね!」
「…それか、塔を丸々破壊して、瓦礫の中から怪力スキルでお宝を頂戴するとか…♪」
「脳筋の塔攻略!!!!」
「まぁ、それは冗談として、迷宮系は殺意高すぎるから脱出スキルとか無いと攻略行かないほうがいいよねー♪月花を嫁にするまで死にたくないにゃー♪」
「それは…私もだから///対人ならそこそこ自信あるんだけどねー」
「お、コロちゃんがふみふみし出したからそろそろ寝ようか?♪」
「はーい、
「あれ?
「まだおあずけー!式部、大好きだよ!」
「言葉で満足しちゃう私ちょろい♪」
翌朝。
大きな街だから、朝から馬車の音等で起こされてしまう。
きっと…今頃朝市が賑わっているのだろう。
ぐぐぐっと伸びを…しようと思ったら左側に式部がちゃっかりくっついてる…夜中トイレ行くと間違いなく横に入ってくるからもう不可抗力だと思ってる。
「にゃー!なんで月花の横に!これはネオジム磁石とネオジム磁石が惹かれ合うかの様な…そう!
「長台詞吐いて眠るなっ!」
「あ、おやすみ月花ー!」
「意地でも寝たいのかっ!」
「おきたにゃー♪」
「切り替えが早すぎる!!!」
まずスキルショップに足を運んだ。
朝とか深夜のお客さんが少ない時間にレア物を出してるお店は多い。
つまり早い者勝ちなのだ!
「今日は掘り出し物ないかなー」
「……たこ焼き成形度アップ…ゴクリ」
「この店のスキル…大阪から流通してるのかな?…」
「おおお、あるよ!依頼の皮膚再生と味覚再生!」
「二個もあるのは有り難い!買ってくるね!」
「はーい!コロちゃん一緒にカタログ見ようぞ♪」
「ににー!」
式部は空いた時間は回復系を探している。私に何かあったら怖いって言ってくれて有効な回復があれば買う様にしている。
さす嫁!
私も式部を回復するスキル探しておかなきゃ!
「式部お待たせー!ショップのお姉さんが温泉教えてくれたよー!」
「おおお、いいね!朝風呂しよー♪」
公衆浴場は街の端にあった。
お城に近い場所で、露天風呂も併設されている。
「はぁー!やっとすっきり出来るー!」
「雨に打たれたら流石に温かいお湯が恋しいもんね♪」
石鹸はお風呂に置いてあるのを使っていいと聞いたが、何となく衛生感が気になり二人で一個の石鹸を買う。
子猫なら、とコロちゃんは入浴許可が出た。
二人で身体をがっつり洗って、コロちゃんも洗う!
この子は身体を洗うと乾かしたら丸々とした毛玉になるから、面白くて頻繁にお風呂で洗ってる。
「はぁ――――…へぶんへぶん…」
「温かいお湯って最高だねー♪」
「天然温泉なのかな?効能が気になる?」
「大体リュウマチとか腰痛とかおじいちゃんおばあちゃんが好きそうな効能だもんねー♪」
『ねぇねぇ、今月のこの温泉の効能聞いた?』
『聞いた聞いた!色気アップ、女子力アップ、お肌すべすべアップだってー♡』
なななななんですと―――――!!
まさかの魔法温泉!!!
「月花ジョッキで飲んでおく?……ってライオンの口から湧いてる源泉を直で飲んでる――――!♪」
「ふふふ
「源泉熱いから気をつけて飲むんだよー…私も冷まして飲むけど♪」
コロちゃんは式部の肩で湯遊びしながら泳いでいた。
この世界にはドライヤーがないが、《社》に頼んで電気を蓄積する石にコンセントをつけたものを作ってもらった。
これでどの世界でもチャージが切れるまで家電が使える。
先にコロちゃんを乾かすとまんまる毛玉になって見てるだけで笑っちゃうからドライヤーもあっという間だ。
と言っても私は髪が長いから、式部がいつもしてくれる。
そういえばパパもママの髪をドライヤーで乾かしてるな。
習慣なんだろうか?
「はーい終わったよー♡」
「ごめんね、次は式部乾かしてあげる!」
「わーい!」
式部の横でコロちゃんが全方向に転がっててたまに吹いてしまう。
猫のおもちゃでこんなのがあった様な…
ゆっくりした後は探索だ!
次の街か、良さげなダンジョンを目指したい!
『これ、綺麗でしょ?大通りの刺繍屋でしてもらったのー!』
『いいなー、私も大きい店でしてもらおうかなぁ…』
この世界の洋服は比較的簡素で安い。
それを刺繍や追加の仕立てでアレンジする女性は多いらしい。
街中でそんな話を聞きつつ、いい情報がないか大通りのギルドに向かっていると…
「ひい…ぎゃあああああああああああああ!」
振り返ると女性が燃えている!
今すれ違ったばかりの人なのに全身に火が回ってる!!
「
…効いてない!
「消去!消去!消去!」
「
式部のスキルで水を大量に浴びて、漸く消えた様に見えた。
「依頼品だけど皮膚再生を使う!」
「私は回復を……あ…」
女性の胸に穴が空いている…即死だ…
衛兵団の方々が来て、その時いた私達を含む町の人に聞き込みが行われていた。
「君達はドラゴン退治してくれた子だね、感謝する」
「あ、はい…それより、あの人の身元は…?」
「目撃証言によると大通りの料理屋の奥方みたいだね。詳しく調べないと分からないけど、恨みを買う様な人柄じゃなく、人気の奥方だったみたいだね…」
色々と話を聞かれ、開放されたのは私達が最後だった。
殺人現場という事も相まって人通りが少なくなった。
「…月花ちゃんどう思うにゃ?」
「犯人は見える場所にいた。消去を連発しても消えない重ねがけ、式部の滝で発火のし辛いのを見て咄嗟に胸に穴を空けた」
「何かが通過していった気配がなかったから、そのものズバリ穿孔のスキルだにゃー」
「そう、それが鍵だよ!」
私達は先程殺された奥方の食堂へ行く。
だが、出来事はつい先程の事だ。
手が空くと悲しいのか塞ぎ込んでいるのを見て、他のシェフやホールの女性が慰めている。
優しいスタッフに恵まれているのは良い事だ。
「月花ちゃん、あの人なんか見た事ない?」
「うん…次は刺繍屋へ行ってみよう」
「そっか!刺繍屋なら穿孔スキル持っていてもおかしくない!」
ちなみにスキルショップは受け渡しの際に実名が記録として残る様になっている。
こう言った犯罪や、今はほぼ無いが偽造が増えてきた時の対策になるのだ。
同じ通りの刺繍屋へ向かうと衛兵団が、押しかけていた。
「え、また何かあったのかな?」
「女の人が縛られて出てきた…さっき通りにいた人だね」
「君達は竜殺しの…犯人を捕まえに来たのかい?」
「うん、真犯人を捕まえにね!」
仕事が終わった夜の食堂のホール。
主人のロブは愛妻を突然殺害され、途方に暮れていた。
仕事中は我を忘れて働けるが、手が止まると妻の事しか思い浮かばない。
「ロブ…?いるの?」
「…レリーヌかい?」
「今は辛いでしょうが…頑張って。私が支えてあげるから…」
「すまない…涙が止まらないんだ」
「いいのよ…今は泣いていいの…私がついてるよ…」
『なるほどねー』
『ご主人目当てに奥さんを殺害とか酷いにゃー♪』
「…!誰?」
隠密スキルを解いて姿を表す。
「あ、あんた達竜を退治した…!」
「あれー?なんで私達を知ってるのかにゃー?♪」
「そりゃそうよねー、私達を目撃者にアリバイを作る為に誘導したんだから」
「は?あんた達何言ってるの?証拠は?犯人は貧乏臭い刺繍屋のベルでしょ?」
「ん?なんでそうだって分かるの?逮捕されたかどうかいつ見たの?」
「…あいつは前から怪しいと思ってたのよ!話しぶりからロブを狙ってたに決まってる!」
「ベルさん、入って来てー!」
入口からベルさんが入ってくる。
「ベルさん、このお店の常連?」
「いえ…仕立物に香りが付くといけないので、お休み前ごくたまにしか…」
「ロブさん…かな?こちらの女性を見かけた事は?」
「…いいえ、ありません!」
「穴を空けるスキルはお持ちですか?」
「縫うのが早くなるスキルはありますが、でも何故か覚えのない変なスキルは所持してました」
「ここに来る前、スキルショップで鑑定してもらったから間違いないにゃー♪」
「貴方は…スキルショップご一緒する勇気…ある?」
「行かなくてもそいつが犯人なんでしょ?私が犯人である理由は何!?」
「最初は偶然だった。そちらのレリーヌさんはベルさんと温泉に来た。この時点でベルさんに濡れ衣を着せる事は確定していた。温泉の効能を話して源泉をがぶ飲みしてる私を貴方は覚えていた」
「人に聞かれると恥ずかしくなるエピソード♪」
「しーっ!ここはスルーさせて!…ゴホン!その後は奥方があの時間仕入れであの通りを通る事を知っていた貴方は何食わぬ顔で殺害をし、罪をなすりつける予定だった。だが、私達が通りかかった事をこれ幸いと刺繍屋の話題を持ち出し、ミスリードさせた」
「状況証拠は貴女の読み通り動いて行き、嫌疑はベルさんに掛かったにゃー」
「じゃあ何でその女がそこにいるのよ!?」
「無実だからだにゃー♪」
「私のスキル【
「譲渡スキルはかなりレア、渡してしまえば自分は言い逃れ出来る。ベルさんがスキルを持っている事に気づいて慌ててスキルショップに駆け込んだら履歴が残ってそっちの物だもんにゃー♪」
「レリーヌ…君が妻を…?」
「…お前達全員殺してやるっ!!」
何かスキルを構えるがこっちの方が早い!
「
「
「…何故だ!スキルがない!?」
「…式部ちゃーん?」
「いやー勿体なかったからついついにゃー♪」
悪あがきか、レリーヌが大きい包丁を持って私に振りかぶってくる!
が、大振りで隙だらけ。
次元の中から刀を取り出し、包丁を真っ二つにする!
「
スキル:超威圧を使用!
圧が強すぎて全身から色々体液出て気絶してるけど、頑張って更生して欲しい。
物音を感じて、外で話を聞いていた衛兵団が入口と裏口から突入してきた!
レリーヌは殺人容疑に殺害未遂が追加され、気絶したまま晴れてお縄についた。
ロブさんはまだ、元気になるには時間がかかるだろう。
ベルさんも親友だと思ってたレリーヌに殺害容疑を掛けられ、逮捕されかけ踏んだり蹴ったりだが強く生きて欲しい。
今度差し入れでも持って行くか。
「式部、あんな奴のスキルを取ってどうするの?」
「例えば、私が怪我した時とかに回復スキルを渡して回復してもらったりとか?」
「あー成程!二人でやり取り瞬時に出来るし、レアスキルだし持っとくか!」
『本当は月花が瀕死の大怪我を負った時に私の命を渡す為なんだけど…黙っとくにゃー♪』
「ただいまー!」
「はわー!おかえりなさい!遅かったねー!」
「うん、ドラゴンの子供助けたり、≪社≫の依頼のスキル二個見つけたり、殺人事件に巻き込まれたり…」
「巻き込まれたって解決出来た?」
「勿論!」
「やっぱりパパの子なんだねー!パパも警察の協力をして解決に導いてたからねー!」
「本当にパパが何者か分からないんだけど…パパとママは仕事何してたの?」
「初めて会った時はママが巫女さんでパパが小学六年生だったのよ?」
「ママ、何回か逮捕歴ある?」
「あーりーまーせーん!」
「逆に何で逮捕されてないのか不審だ!!!」
「清い関係だったよ!もうパパが可愛すぎてーえへへへへへ!」
「もしもし、奈良県警っすか?身内に変態が…」
「通報切ってー!」
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