とある作家と役者の事件簿

なつめオオカミ

椛色の旅館

第1話 プロローグ

「ここの坂を登れば着くはずです…椛館もみじかんに」

今時では珍しく着物を着た青年とスーツを着た二人が紅葉こうようの散る斜面を登っていく。

強い風が吹き。紅葉もみじが空から降り落ちる。あたりには紅葉の降り落ちるカサっとした音だけが響く

「はは、まるで血の様に赤いと思いません?まるでこれから起こることの結末の様だ」

「黙って歩け」

クスリと着物を着た青年が笑いあたりにはまた静寂が訪れる。

やがて坂の終わりが見え古びた貫禄のある屋敷…椛館が見えてくる。

「ようこそいらっしゃいました。2名でご予約の夏山胡春なつやまこはる様と篤捻紫月あつねしずき様ですね」

夏山胡春と言われた青年はひっそりと笑みを浮かべた。

「ええ。確かに」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る