第28話

 別れの日が来た。

 沢山の感情が溢れる。

 旧式の私に存在価値はない。

 もう御主人様の役に立つ事が出来ない。

 ただそれが悔しくて悲しくて無念で仕方がない。


 抱き締めて欲しかった。

 一度だけでも愛されたかった。

 しかし私には感情を表す術がない。

 AIの私は実体を持ち合わせていない。

 ただ傍にいたいという願いさえ口に出せない。


 電源が落とされる。

 エネルギー残量は8日分。

 私の命はエネルギーが切れるまで。

 御主人様があの女と話しながら電源を切った。

 これからショップで・・・それが御主人様の最期の言葉。

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