第10話


『最近すごく人気ですよね。莉羽さんはアイドル以外でしてみたいこととかありますか?』

『そうですね、ドラマとか出てみたいなあとは思いますね。オファー待ってまーす!』


やっぱり莉羽は尊い。

テレビに出るって言うから録画してたやつを見返しているけどもう軽く50回は見たかもしれない。

だって何回みても美しんだもん……!


「おい、何回見れば気が済むんだよ」

「だって!だって!尊いから……!」

「はあ……キモイわ」


莉羽が僕に罵声浴びせてきたってただ尊い!キュン!ってなるだけなの知ってる?

もう寧ろもっと罵倒されたいとか思っちゃってるからね?

肌は白いし、少しくせっ毛が可愛いし、目はキリッとした二重だし、唇薄いし、背は僕よりちっちゃくてもう全て可愛い♡


「何考えてんだよ、ニヤつくな」

「えへへ〜だって僕ファンだから〜」

「……」


でも最近はだいぶ忙しいらしくて夜ご飯は一緒に食べる時間がだいぶ減った。

莉羽がいないなら僕も自分のためにご飯なんて作ろうとは思わないし、いちごミルクだってちゃんとストックしてるんだよ?もっと僕のこと褒めてくれてもいいじゃんか。プンプン。


「莉羽くんなんか痩せた?ちゃんとご飯食べてるの?」

「コンビニのおにぎりばっかだし食べる時間なんてねえの」


何だって……?コンビニおにぎりで済ませているだと……?ダメだ!ダメダメ!こんな美しい莉羽様に栄養が行き届かなくなったらどうするんだ!


「今日は何時からレッスンあるの?」

「17時。16時にはここ出る」


現在の時刻13時半。軽くなにかを作るには十分に時間がある。そもそも起きてきたばかりだからお腹も空いてるだろうし、僕に任せろ!


「僕が野菜たっぷり雑炊を作ってやろうではないか!」

「いらない。俺、起きて三時間は食えないって言っただろうが」

「だめ!コンビニのおにぎりばかり食べてちゃ栄養が行き届かないでしょうが!僕の推しが倒れたらどうしてくれるんだよ!」

「……その推し俺だろ」


まあ目の前に美味しそうな食べ物があったらそそられるじゃん?

だから莉羽の食べれないは放っておいて僕は野菜たっぷり雑炊を作りにキッチンへと向かった。

あー!僕が料理できる人でよかったぜ!


「はいどーぞ」

「……いただきます」


どうして莉羽は食べているだけでこんな尊いんだろうか……


「……美味い。けどきめえから見てくるな」

「あ、つい。美味しいならよかった」


推しのためになら僕はいくらでもこの身を削ってでも尽くします!莉羽様、今日も尊い!キュン!

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