054 受け入れ

「どうするつもり? というか、どうせ鑑定したんでしょ。わかることは教えなさいよ」


 セフィリアにそう切り出され、俺はまずレベルが俺やマリーとセフィリアの間であること、悪人っぽいスキルは持っていないことを説明した。


「冒険者の中には単独で活動して時折パーティを見つけては参加するような暮らし方をする人もいます。さっきの人もそうなんでしょうね」


 マリーの意見に俺もうなずく。ガチの異世界でソロ冒険は危険極まりないが、同時に自由極まれりで少しだけ、ほんの少しだけ気持ちがわかる。まぁ、この二人に出会った以上、この二人と一緒に冒険した方が楽しいだろうが。


「セフィリアは前に打撃武器使いがいた方がいいって言ったよな」

「そうね、まぁ今回の彼は次の街までだから、道中で必要性が分かるかもしれないわね」


 必要によっては俺が剣だけでなくメイスとかも扱えるようになった方がいいかもしれないってことだな。


「マリーはどうだ? 年の近い男がパーティにいるって……」

「そ、それは……レックスさんが一緒なら大丈夫です」


 うん、信頼を感じる。……信頼、かぁ。


「マイホームは見せない方がいい……か?」


 期間限定になるとはいえ、もしエリックと旅をするなら一つ問題が発生する。俺の能力をどこまでオープンにするか、だ。なにせ向こうはダンジョンを目指している。二日間くらいしか同行しないのであれば、伏せておくのも一考だろう。となると、野営グッズが必要になってくる。今から買いに行けばまだ間に合うが、露骨に野営グッズを買いに行くなんて言ったら、これまでどうしていたんだと疑問に思われかねない。

 まあ、二日間くらいなら多少なんとかなるだろうか。日用雑貨に関しては収納魔法と称してマイホームから引っ張り出せばいいし、なんなら寝ずの番だってあるだろう。そうだ、寝ないというのもありだな。エリックへの警戒という観点からも、それがいい。


「俺としてはマイホームを伏せる前提で二日間くらいだったら一緒に依頼を受けるのもありだと思っている。これから他にもそういう場合があるだろうし」

「そうね、五級の冒険者の実力を直接見るのも悪くないわね」

「私も特に反対意見はありません。それに、普段からレックスさんのマイホームに頼りすぎでしたし、野営の経験なあら多少ありますから、そこは心配しないでください」


 ひとまず満場一致でエリックの同行が決まった。じゃあ、依頼の張り付けられたボードを見ているエリックに声をかけるとするか。

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