014 成長するマイホーム

 食事の時もそのあとも特に問題はなかったのだが、夕食を済ませベッドに寝てからマリーの裸体が脳裏をちらついて眠れそうになかった。


「うーん……」


 こっちの世界に来てから時計を見ていない。夕食は食べたが、実はまだ地球でいうところの午後七時くらいなのかもしれない。昨日は半ば気絶するような就寝だったからさておき、もうしばらくは寝られそうにない。魔物との戦闘もあって身体は疲れているのだが、魔物との戦闘での昂りや繰り返しになるがマリーの裸体……。マリー本人は既に寝ている。どうやらマリー、少し寝相が悪いようだ。めくれてしまった掛布団をかけなおし、俺はマイホームに移動した。


「レベル上がったからな。ホームポイントは……え? 多くね?」


 レベル3になった時にホームポイントは20で15ポイント使って家を拡張した。ところが現在、ホームポイントが65ポイントもある。レベル4に上がった時は普通に10ポイント増えていたから、レベル5の時に50ポイントもくれたということか。キリがいいレベルになったから、ということだろうか。でもスキルポイントはそこまで増えなかったのに。


「まぁ、いいや。これでまた部屋の拡張が出来る」


 30ポイントつぎ込んで部屋を拡張する。これまで四畳半だった空間が6畳に広がった。それに伴ってキッチンの場所も居室空間から廊下っぽい場所に移動した。まぁ、ワンルームといえばこういう構造の方がありふれているだろうし。


「にしても、拡張してなおポイントが35も残っている。とはいえ、次の拡張は50ポイント……ここは広げるより今この空間を充実させた方が得策か?」


 もしキリのいいレベルの時にボーナスポイント的に増えるのだとしたら、次はレベル10……まだ先だが、その時にまた拡張すればいいだろう。となれば。


「取り敢えず寝具が欲しいな……」


 元からあった布団をマリーに使わせている現状、自分用の寝具が欲しい。家具生成(序)のスキルで生成できるのは簡素なベッド……でもないよりはマシだからな。消費ポイントは5か。作っておこう。


「うーん、片方が布団で片方がベッドっていうのは据わりが悪いな。ポイントはまだあるし、作るか」


 幸い、6畳になったことでベッド二つは普通におけるだけの広さは確保できている。サイドボード代わりに元からあった座卓を置いておく。お風呂が出来ていたらタオルとかバスマットとかそういうものを生成するのだけれど。

 マイホームスキルはどうやらポイントを使ってランクアップさせるのではなく、マイホームレベルと連動して増えたり強化されたりするらしい。マイホームレベルはそもそも俺のレベルと一緒なのではなく、広さや設備が充実していくとアップするらしい。それもまたゲームっぽくてわりと面白そうだ。


「取り敢えず向こうで寝るか」


 マリーと同じ部屋で寝るのにも慣れておかないといけないし、それに同じ部屋でいいのか確認した時に、一緒にいて欲しいって言っていたし。

 マリー、俺に対してはけっこう積極的なそぶりを見せるけど、元はと言えば無理やり迫られたところを逃げ出して俺と出会ったわけだし、どこか強がっているように思える。そんな子を抱くなんて、そんな勇気……あったらとっくに童貞卒業してるわって話だ。


「明日、この部屋を見てマリーはビックリしてくれるかな」


 それを楽しみに、今日は眠りにつくのだった。

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