第10話 丁紹
「太平郡に続き、汲郡まで……このままでは、このままでは……」
古くは戦国時代に秦国と趙国の決戦“
平昌公である
「鄴城は我等が命に替えても守り抜きます。ご安心を」
二本の角飾りのついた兜を被った
しかし、その時、扉が勢いよく開け放たれて、朗らかな声が部屋中に響いた。
「それにそれに!この私までいるのですよ!」
「おお、そなたは」
朗らかな声の主は、ツカツカと歩くと、司馬模の前に跪いた。
赤い戦袍に銀色に煌めく明光鎧、兜には羊のような怪獣の顔が彫金されている。
公正を象徴する瑞獣、
「広平郡太守、
司馬模は椅子から降りると、丁紹の手を取って立ち上がらせた。
「戦上手で知られるそなたが来てくれるとは、非常に心強い。聞けば、賊に郡境を一度も超えさせたことがないとか」
丁紹の笑う口元に、やたらと歯並びの良い歯が光る。
「ハハッ、他の太守が不甲斐ないだけですよ。ま、私が来たからには大丈夫、ということは否定しません。大船に乗ったつもりでいてください」
丁紹はその場に居並んでいる趙驤達二人の将軍を一瞥すると、再び司馬模に視線を戻した。
「作戦の指揮は私が執らせていただく。よろしいですか?」
「無論である。頼むぞ、丁紹」
丁紹は二人に砂盤を持ってこさせると、司馬模にさっそく作戦の説明を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます