✪ ストーリーライン ✪

▪ ずっとPCに向かい、チャットで話してばかりなルカに耐えられなくなり、不満をぶつけて部屋を飛びだしたテディ。久しぶりに嘗てひとりで住んでいたフラットに来てみたが、部屋は住んでいた頃よりも殺風景で、冷蔵庫のなかも空っぽであることに気づく。

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▪ 一夜明けて、どうしようかと途方に暮れながら雨のなかを歩いていたテディは、いつの間にかユーリの家の近くに。ずぶ濡れになり血の気を失っている顔を見て驚いたユーリは、冷えた躰を温めろとバスタブに湯を張る。

 何故か風呂に一緒に入ってきたユーリ。テディは愚痴混じりにくだらない話をし、子供のようにユーリと風呂でじゃれ合う。

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▪ ユーリから電話でテディが来ていると知らされ、ほっとするルカ。テディは昔から定期的に情緒不安定になり、そんなときはこっちがなにを云ってもやっても逆効果。それをルカはよくわかっていて、黙って放っておいたのだった。

 テディのために創りあげたホームである部屋を見まわしながら、ルカはさて、いつ迎えに行こうかとカレンダーを見る。

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▪ 真夜中に目を覚ましたテディは、すっかり冷静になっている頭でルカのことを考える。ぐるぐるとした思考を振り払うように煙草を揉み消し、喉が渇いたなとキッチンへ。

 水を飲みながらちゃんと使われているキッチンを見て、ユーリと一緒に料理をしたことを思いだす。ルカともあんなふうにできればいいのに、とふと思うテディ。

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▪ 翌日、バレンタインデー。薔薇の花一輪とプレゼントの箱をふたつ抱え、ルカが迎えにやってきた。箱の中身はハンガリーの銘菓、シュトゥメルのチョコレートとサモシュのクッキー。ルカとテディがロンドンの寮制学校ボーディングスクールで初めて出逢ったとき、テディが好物だと云った菓子だった*¹。

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▪ しかもサプライズはそれだけではなかった。窓から見下ろすとそこには真っ白なBMW、650iカブリオレが。まさか俺に? と驚くテディに、ルカはいや、俺とおまえふたりの、だと答える。

 その言い方が、プレゼントされるよりもなんだか嬉しいと感じるテディ。

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▪ その新車でドライブがてら、カルロヴィ・ヴァリまで行こうと云うルカ*²。

 だが、どうせならユーリも一緒に、と云うテディ。ふたりとも大好きだから、といたずらっぽく微笑むテディに、おまえは云いだしたら聞かないんだからと、ルカは困った顔でテディを睨んだ。





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❐ マイ・ファニー・ヴァレンタイン [Side Tedi version] ≫ https://kakuyomu.jp/works/1177354055630459440

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※1〈THE LAST TIME〉、《§ Year 9 / Summer Term 「人見知りの編入生」》でのエピソード。

※2〈カルロヴィ・ヴァリの殺人 [Rewrite 「K」 edition]〉に続く。

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