第6話 爆死
現在、空中にはピエロの仮面をかぶった赤ん坊であり息子のピピエロがガチャを召喚していた。
ガチャのハンドルをルガスは恐る恐る回した。
出てきたボール状のものを開くと。
【レアスキル:予知】を習得しました。
ルガスの頭の中に予知の情報が流れてくる。
この予知スキルはランダムで突然未来を告げてくれるというもの、難点はランダムと言う所、問題は自分で操作する事が出来ないという事。
「おめでとうでゲス、運がいいでゲスねルガス殿は、さて、次のバトルも頑張ってきてくださいでゲス、応援してルンルンマッチングしてますでゲス」
「ああ、面白くしてやるよ」
俺は円に立つと、体がふわりと消滅するのが分かった。
そこは火山地帯と言っていいだろう、いたる所に溶岩が流れている。
熱風が肌を覆い、もはや死にそうだ。
空気がほぼ燃えており、息がしづらい、肌がもはや火傷気味だ。
空まで燃え盛り、まるでこの世界が終末を迎えているかのようだ。
雲は灰色どころではなく黒々しい雲ばかりが空を支配していた。
太陽なんて存在しない。全てが炎と溶岩に包まれている世界。
【イェエエエエエエエェエェエエエエ、今回も始まりました。問題児人間ルガスさんですねーあなたはレア級の参加者を殺害しまくっています。リスナーさん達から笑い声が飛んでいますねー、そしてあなたのおかげで我がハロウィン達は金を設けているのです、ぐふふふ、まぁ独り言は終了し、今発言せねばならないのは、今日、この日、お前は敗北するだろう、なぜだら、お前の相手はこいつだからだあああああああああああ。炎の精霊と言われた事もあろう、別の世界ではドラゴンと間違われたこともあろう、それでも、それは世界を統べる精霊の1つ。その口から紅蓮の炎を吐き出し、その胃袋からは火炎弾を発射し、相手を爆発させる。その精霊の名前は、サラマンダーだあああああああ。勝てるか人間、相手は精霊様だぞおおおおおお】
「へいへい、ハロウィンさんはいつもうるさいこって」
ルガスは耳くそをほじりながら笑う。
目の前には小さなドラゴンが浮いている。
真っ赤な赤い鱗につつまれ、口はワニのように大きく。
小さな羽で空をぴよぴよと飛んでいる。
ゲップをしたのか空気が爆発した。
「ふう、行きますか」
スキル超高速を発動させ、サラマンダーの近くに飛来する。
大悪魔の剣を抜き内ざま、スキル剣豪を発動させ、右に左に超高速を利用して両断する。
そこまでで18通りの斬撃を浴びせた。
だがそこにはサラマンダーはいなかった。
【お前はバカかあああああああ、サラマンダーは炎を支配する精霊。炎がある場所であれば、そのスピードは神のごとし、炎の力を借りればそれは誰も追いつけない超スピード、お前の超高速がなんだか知らんが、そんなもんで、サラマンダー様を捕まえられる訳ねええええだろおおおおおお、イエエエエエエエエエエエエエエエ】
「ったく、うるさ、ぶごぼおお」
四方、見えないスピードで飛来する沢山の火炎弾。
自動回避スキルが発動しても避けられるレベルではない。
鉄壁を発動しても、防げるレベルではない。
だからうずくまったのだが。
爆発音がとてつもなく。体を覆う皮膚という皮膚が破裂し、内臓がぶちまけられ、頭が吹き飛び、眼玉が転がり、脳みそがぐつぐつと煮込まれ。
ルガスは爆死した。
「はぁはぁ、なんだこれ、尋常じゃなく痛かったぞ」
一瞬、爆発して死ぬ瞬間、その痛みは想像を絶するもの。
火傷を通り越し、皮膚が裂けるレベル。
それも肉体が崩れるのは時間差だ。
【スキル:炎耐性レベル1】を習得しました。
つまり炎に対して耐性が出来ると、これを100レベルにすればサラマンダーの火炎弾をなんとかできないだろうか。
スキル想像力レベル100を活用して即座に想像し考えた。
「まじかいな」
目の前にサラマンダーが飛来。俺はまた爆死した。
====ラウンド3回戦====
爆死
====ラウンド10回戦====
爆死
====ラウンド100回戦====
爆死
====ラウンド500回戦====
【スキル:炎耐性レベル100】→【スキル:強炎耐性】
進化したスキルの情報が頭の中に入って来る前に、俺は爆発させられた。
500回も死んだ。全ては転生ポイントで蘇った瞬間爆死させられるパターンだった。
今回も即座にサラマンダーは火炎弾をぶち込んできた。
しかし、その時にはスキル強炎耐性を習得していた。
爆風だけが体を通り越していった。
岩の塊のようなものが顔面にぶつかたくらいで、スキル鉄壁レベル1が発動しているから問題なかった。
ルガスはにやりとほくそ笑んだ。
しかしそれはサラマンダーとて同じであった。
【人間んんん、お前はサラマンダー様を侮っているぞおおおお、サラマンダーは炎の精霊だが、舞台が炎であれば、そのスピードを利用してえええええええええ】
「ったく、うるさい」
サラマンダーはあちこちを飛翔する。
それを目で追う事は不可能。
ルガスは大悪魔の剣を腰に戻すと。
スキル気功術を発動させる。
体の周囲に気と呼ばれるものを集めていく。
服を纏うように気を集めていくと。次に自動回避と超高速と達人拳法を発動させる。
少しでも体が動けるようにしていくと。
サラマンダーは大きな口を開いているだろう。
炎が聞かないとなれば、取るべき手段はその口で噛み殺す事だ。
気功術は気を操る事が出来る。と言う事は気を体に纏わせそれを分厚くさせる事で範囲、つまりゾーンをつくりだす。
そのゾーンに入ったら自動回避を発動させる。
そして超高速を発動させ、達人拳法でぶちのめす。
そしてその時がやってきて、ルガスは跳躍していた。
サラマンダーの顔面がひしゃげ転がっていく。
ルガスは容赦がない、超高速で飛来すると達人拳法のかかと落としでサラマンダーの頭を潰す。
ルガスはそんなに死んでいない。
少し前までありえない数死んだはずだった。
ルガスは自分自身が確かに強くなっているのだと実感した。
だがそれは杞憂、それは自己満足、それはただの妄言だと悟る。
【くくく、だから言っているだろう、サラマンダー様は精霊様さ、つまり肉体なんて仮初なのさあああああ、イエエエエエエエエエエエエエエエエエエ、ルガス、お前は終わりだ。絶望し、死にやがれ、ばあああああかああああああ】
「あいつ毎回、気に障るんだよな」
ルガスが苦笑しつつ。
体がテレポートしない事からサラマンダーが生きている事を悟る。
サラマンダーの死体から赤い煙のようなものがもくもくと吐き出される。
それは馬と同じくらいの大きさのドラゴンが出現していた。
そいつは最初の時と同じように何事もなかった感じでゲップをしていた。
サラマンダーはこちらをじろっとみると、口の端をにんまりと釣り上げた。
奴の周囲に炎の塊が出現する。それがみるみるうちに大きくなる。
「嘘だろ」
【サラマンダー様の火炎玉は星なんだぜ】
だからうるさいハロウィンとは言えず。
炎の塊は空に飛び、それは星となりそれは隕石となる。
「こいつフィールドごと破壊するつもりか」
沢山の隕石が落下を始める。
その数100個。
ルガスは考える。
どうすればいいのかと、あんなの食らったら爆死どころじゃすまない。
体が粉々に吹き飛ぶ。
たぶん、蘇っても同じ事をされる。
強炎耐性があってもあれじゃあどうにもならない。
「考えるんだ」
恐らく、サラマンダーは実体がない、あのハロウィンというバカが教えてくれた。
魔法だ。魔法が必用だ。しかし魔法は習得していない。
想像をする。
「思い出せ、俺の本職は図書館の職員だぞ。それこそ魔法書なんて見てきた。習得はしなかった。それはなぜか、できなかったからだ。今の俺なら」
頭の中でひねり出した魔法。
それは。
「水魔法か」
想像力レベル100を使用して【スキル:水魔法】を習得する。
その他にも【スキル:魔力増強】を習得する。
魔力増強は禁書であり、興味本位で図書館の禁書部屋に入って読んだから覚えていた。
「よし、隕石が落ちるまでは」
その時頭痛がした。
頭の中に映像が見える。
これが予知ってやつか。
俺が特大の水魔法を発動させると、サラマンダーは右によける。
そして隕石は落下して俺は吹き飛ぶ。
そこまで見えて、はっと現実に戻る。
空を見ると隕石はいまだにゆっくりと落下する。
ルガスは水魔法の詠唱を唱える。
さすがに無詠唱は習得してないの詠唱する必要がある。
サラマンダーはそれに気づいて身構える。
さらに魔力増強を発動させる。
これは体力を燃やして魔力に変換する。
使えば使うほど疲れてきて、死ぬ。
だがここは不滅闘技場死んでも問題ない。
心が負けてしまわない限り、消滅する事はない。
水魔法が発射される。
特大の水魔王は馬の大きさを超えて、一軒家くらいの大きさになる。
やはりサラマンダーは右に高速でジャンプする。
眼では見えないレベルだったが、予知でそれは知っている。
水魔法をあらかじめ分離させるように詠唱させていた。
水魔法が右にずれると、サラマンダーの体にぶち当たった。
サラマンダーはもがき苦しみ。
体がもくもくと消滅していく。
しかし時間がかかる。
隕石はひたすら落下している。
サラマンダーが死んだと思った時。
隕石は落下し、ルガスは爆死とともに勝利したのであった。
「ってあれはねーだろう、ハロウィンの懺悔のコメント聞きたかったし」
現在いつもの部屋に帰還して、1時間の休憩を与えられたのでパンの木からパンを取って食べている。
「そういわれてもでゲスね、あのタイミングだと仕方ないでゲスよ、よーく考えてロンロンですよ、あなたが死んでサラマンダーが死んだ。ほぼ同時でしたんですねい、あなたは心が折れない限り負けはないので同点ではなくルガス殿の勝利となったのですゲス。おめでとうございます。あとハロウィンさんは地団駄を踏んでましたよ」
「はっはっは、あのハロウィンはもうちょっと考えたほうがいいぞ」
「僕もそう思うよ」
「悪魔くんもそう思うか」
「あのハロウィンさんはリスナーを増やす事しか考えていません」
「気になったんだがリスナーとはなんだ」
「それも説明しないとでゲスね、この不滅闘技場を見ているのは沢山の世界にいる人々なんです。まぁ人なのかな、神に近い人達ですね、彼等は娯楽が欲しい、娯楽を楽しむために、不滅闘技場でかけ事やお金を使っているんでゲス。それをハロウィンさん達が儲けているでゲス」
「そうか、世界は1つじゃないんだな」
「そうでゲス、沢山世界があります。あのモンスター達だって沢山ある世界の1つからやってきたモンスターでゲスよ」
「一応俺の世界にほとんどいるけどな」
「まぁそんなもんでしょうでゲス」
「この僕はどこの世界なんだろうか」
「悪魔くんはきっと悪魔の世界だろうな」
「それは言えているでゲス」
「さて、そろそろ時間だな、悪魔くんいくとするか」
「頑張るでゲス。どのくらい倒さないといけないか分からないでゲスが、きっと先は見えてくるでげす。そしたら母上殿を助けにいけられるでげす。回帰して人生をやりなおすでげす。俺様はもう終わった命でげす」
「そういうな」
ルガスは決めていた。
回帰する事と願いを叶える事、神になる事と死んだものを蘇らせる事以外なら。
例えば、ピピエロを。
そう考えた瞬間、体がふわりと消えた。
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