海人が魅せる一ノ谷の合戦【ローダ・スピンオフ】
🗡🐺狼駄
第1話 元・フォルデノ城の騎士
アドノス島の最北にあり、目と鼻の先にある大国エタリアからこの島を守る最重要拠点である要塞都市フォルテザ。
此処から
「んっ? ちょっと待て! 彼奴等が船を使ったって事は、俺達は陸を往くのかぁ?」
「……何言ってんだ団長。
『
その隣、『
二人共、いざ戦場となれば異名通りに青と赤の
ミドルネームに地名の
「だってよぉ、俺は元々漁師。海の男よっ! それなのにまた馬上かよッ!」
「アタイは元々、
「あ、二人共、大変言い
騎馬の話題で
『ジェリド・アルベェラータ』が、身体に似合わず小さくなりながら告げる。
その実力は折り紙つきであり、元・ラファン自治区の総司令。彼のミドルネームに
「ラファン自治区は、その
実に当然の事をまるで罪人の様に、今さら伝えなければならないのは辛い処だ。
「…………」
「ま、まあ、アタシは勿論知っていたけどねっ!」
ランチアは言葉を失い、プリドールの方は、強がりなのか冗談なのか、何だか良く判らない。
「ハイハイッ、そこふざけていないでラファン
「ふ、ふざけてなどおらんよ」
「あ、はい。大変失礼しました。ふざけてるのは青の
「い、イルカじゃねえっ!」
そう、ジェリドは決してふざけてなどいない。彼は地元を
本来なら自由騎士を望む彼が、本作戦の総司令を引き受けた事でも
「と、処でジェリドさん。本当にこの
「ああ、そうだ。俺と元・フォルデノ兵200。それに青と赤シャチが率いるラオの槍兵40。それから君には大変申し訳ないが、ハイエルフのベランドナを
「
リイナは可愛い顔を真っ赤にして
さらに言えば彼女はジェリドの一人娘。ラファンを救いたいという思いは、父に
そしてベランドナ。普段の彼女はドゥーウェンをマスターと呼ぶ程に
言わば普段、自分の元にいる者同士を交換する様、ジェリドは要求しているのだ。
「リイナの
「あ、はい……そ、それはもう
ドゥーウェンの顔が青ざめてゆく。どうにか退けたものの、二度とあんな危ない橋は渡りたくない。
「で、リイナさんの
「構わねえが、俺抜きで
それ程にフォルテザ、そしてそれを囲うエディン自治区の南にある自然の
そこをジェリドの軍200は、潜って敵の砦を目指す
「
「無論、道など知らずとも
ジェリドの期待が
「ただ、いよいよ馬は使えなくなりますが…」
「げぇぇ、ま、マジかよ」
「構わない。ランチア、君達は好きな
いよいよドン引きするランチアにジェリド総司令は、制限付きだが自由を与えた。その方が彼等は思わぬ働きをしてくれると信じている。
「よしっ、ではこれにて解散。明朝4時、陽の登らぬ内に出立する。フォルデノ兵は、私が言った通りの装備を整えておくように」
閉会、既に夕刻を過ぎようとしていた。
ジェリドが大広間を出てノシノシと廊下を行く。その足に物音を立てない歩みでベランドナが長い金髪を
「相手の話だな」
「はい、誠に無能で恐縮ですが、私の精霊探知で
「いや、それだけでも
「ただ…」
ベランドナの顔色が暗い。冷静沈着で物事に動じない彼女にしては大変に珍しい。そして小声だ。余程周囲に聞かれたくないらしい。
「な、何か気になることでも?」
「はい、彼等は恐らく貴方と同じ、元フォルデノ城の騎士。
「な、ば、馬鹿な…マーダの前に敗走し、生き残った兵達もエドル神殿の守りに全て使ったと、本人達から聞いているのだ」
「そうです。それが得体が知れないという事です。
赤い竜の紋章、それはジェリドが国を抜けた際に鎧から削ったものだ。
「まだ生き残りがいるのか。なれど黒でなく白の鎧…。まさか無理矢理ではなく忠誠を誓っているというのか。あのマーダに!?」
8ヶ月程前に
黒色の鎧であるならまだ判る。無理矢理マーダの私兵にされた連中ということだ。
だが白い鎧だと正規のフォルデノ兵であることを意味している。忠誠を誓っているとはそういう意味だ。
(あ、有り得ん事だ…俺の知っている奴なのだろうか?)
ジェリドは途端に気が重くなった。エドル神殿に続き、またもや
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