99話 残された推したち
【鈴木さんちのダンジョン崩壊】、【天秤樹の森スタンピード】。
この二つの事件を耳にした【にじらいぶ】の3人は、非常に重苦しい空気で向き合っていた。
「市民の認識からすると、事態が切迫しているのは……ダンジョン崩壊の方かしら?」
「一般市民に犠牲者が2000人以上でたもんね……ゾンビの侵攻を食い止めてる自衛隊や冒険者たちも、包囲網を突破されそうって必死だし」
「やけん、
【にじらいぶ】陣としては【天秤樹の森スタンピード】の方が重いと捉えているようだった。しかし、その判断は本当に合っているのか?
一抹の不安がよぎる。
ここで判断を見誤れば、大切な仲間を永遠に失いかねない。
そんな思いが3人の胸中に、深く深く突き刺さっているのだ。
「私たち【にじらいぶ】は……【天秤樹の森スタンピード】の救援に向かいましょう……!」
それでも
強張る顔をどうにかやわらげて、
「す、【鈴木さんちのダンジョン崩壊】は……きっと、大丈夫に決まっているわ。だって、あのナナシがついているのよ?」
そう言い切った
ピンチの時こそ、チャンス。
トップである社長が悲観していたら、仲間の自分たちまで不安は伝播してしまう。
だから
でも、だからこそそんな心情を察知した
「
「
二人は
心配ならどっちも行くべきだと、そんな提案の仕方はしない。
そんな二人の配慮を、
「でも……そんな……
「社長はあたしたちがそんなに信用できないのかな?」
「心配性の社長じゃ、ちょっとうちらも不安ばい。もっとドッシリ構えてよかよ?」
ここまで言われたら
【にじらいぶ】の赤色担当が、赤色らしくふてぶてしい笑みを浮かべた。
「そうね。ダンジョン崩壊は私一人で十分よ。そっちこそ、ぎんちゃんとドラゴンたちを……任せたわよ?」
リーダーは情熱と信頼を込めて二人を見つめる。
「正直なところ、地下型ダンジョンは空が見えなそうであたしには不利かなーって。その分、【天秤の世界樹】は空に近いし! 暴れやすいなってね!」
青色担当は実直に得手不得手を吐露し、青色らしく
「うちも人形たちば動員するなら近場がよか。それに人形たちの有用性を、冒険者にアピールできるいい機会だっちゃ」
黒色担当はちょっとした打算で返答し、黒色らしい黒い笑みを浮かべたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます