男 第一回 格闘遊戯③

「【 格闘 遊戯 】獅子レオ


 春人とレイアの前に獅子の顔をした筋骨隆々の亜人が現れる。

 右手には剣を装備している。


「がるるるっ。小童。よくぞ儂を呼び出したな。」


「ひっ。……また、怖いおじさんが来たの。」




 30秒後




「ごべっ――らおっ――。」




 春人に倒された獅子レオは、煙とともに金色の小さな獅子に変わる。


『がるるる。まったく手応えがないわい。精進せよ。次は期待しておるぞ。』


「それはお兄ちゃんの台詞なの。」



 獅子レオは、属性を付与する化身インカーネーション

 10万(割引後1万円) 火水風土

 100万(割引後10万円) 精属性(火水風土の全属性)    

 1500万(割引後15万円) 聖 戦 光 (各属性+火水風土)

 3000万(割引後300万円) 天(聖・戦・光の全属性) 邪

 5000万(割引後500万円) 無(無属性とその他全て)


『誰に何の属性を付与する。まあ。小童には付与する必要がないがな。』


「ボーナスを使いたい。」


『がるる。承った。』


 春人は無属性付与をレイアで選択した。


『がるる。無料なら当然か。悪くないだろう。』


 レイアの体が光はじめる。レイアは高位のスキルや魔法が使えるアストラル体に変化した。


「お兄ちゃん。コレは何なの?」


「レイア悪い。腹減ってるから詳細は後でな。獅子レオありがとう。また今度な。」


『がるるる。さらばだ。貴様らに幸あれ。』




 春人は本日最後となる化身インカーネーションを呼び出した。


「【 格闘 遊戯 】ピーシス


 春人とレイアの前に魚を縦にしたような異世界のものとはまた違った魚人が現れる。

 右手には槍を装備している。


「小童うお。よくぞ儂を呼び出したうお。」


「ひっ。……今度は違う意味で怖いの。」




 15秒後




「うぎょっ――ぎょぎょぎょぎょっ――。」




 春人に倒されたピーシスは、煙とともに金色の小さな魚に変わる。


『今回はこれくらいで勘弁してやるうお。命は大切にするうお。』


「もう言葉もないの。」


 ピーシスは、職業を付与する化身インカーネーション


 ≪ 基礎 ≫10万円(割引後1万円)

 冒険者 戦士 魔術師 僧侶 斥候 騎士 狩人 盗賊 重戦士 商人

 ≪ 希少レア ≫50万円(割引後5万円) 

 バトルマスター 重装歩兵  など

 ≪ 固有ユニーク ≫ 100万円(割引後10万円)

 勇者 大魔道士 死神 大忍者 聖騎士 大富豪 など

 ≪ 英雄 ≫ 300万円(割引後30万円)

 このランクの英雄職は、人間体のままで天属性以上を扱える職業

 天属性(聖・戦・光・邪など)

 聖者 聖女 英雄など

 ≪ 称号 ≫ 1,000万円(割引後100万円) 

 天使 

 聖神 聖女神 戦神 戦女神 光神 光女神 無男 無女  

 無龍 

 戦職 聖職 光職 無職  など


「ボーナスを使いたいが大丈夫か?」


『良いうお。』


 春人は自分に『無男』をレイアには『無女』を選択した。


『了解したうお。なかなか良い称号を選んだうお。称号は偏りのある職以外、ほとんど変わりはないけど、無龍だけは強い代わりに龍に変化するうお。』


「いや。それは早く言っとけよ。」


 最後のボーナス。ジョブ付与 2回無料。

 二人はジョブの上位である称号を獲得した。



ピーシス。今日は本当にありがとな。これだけやったんだ。レイアだけは強くなったと思って良いんだよな?」


『それは間違いないうお。』


「サンキュー。じゃあな。これで終了する。」


『うお。気をつけるのだぞぅお。今日が過ぎれば、一週間後から、一週間に一時間のみうお。さらばうお。幸運を祈るうお。』


 ピーシスが消えた所で、春人はしまっておいたミスリル製のナイフをレイアに返した。


「レイア。ナイフ返すね。それとレイアはこれで俺よりも格段に強くなったはずだから。これからは、お兄ちゃんの事を守ってくれよな。」


「え?」


「自分を鑑定すれば分かるよ。」


「鑑定なの? 私がなの??」


 レイアはステータス画面を開いた。


「えええええっーーー! 嘘!? こんなのありえない。」


 しばらくして


「やっと、話が繋がったなの。こんな量の天賦の才は今まで聞いた事がないの。Lv13でこれ程のスキル量なの。それに、さっきの不老不死って。」


「嫌だったかい?」


「ううん。嬉しいよ。でも、こんな大きな借りをとても返せないの。」


「いや。ちょっと驕っただけだから、喜んでくれたらそれが対価かな。」


「お兄ちゃん。ありがとう。私、この力を絶対に良い事に使うなの。それに、いつか、これをお兄ちゃんの為に使うなの。」


「ありがとう。喜んでくれて良かったよ。」


 春人がレイアの頭を撫でると、レイアが春人に抱きついて泣いていた。

 レイアは自分の落ちこぼれぶりを良く理解していた。これまでレイアの親はそれに触れないように接してきた。誰にも期待されないのはもちろん、レイアには何もさせない。今回レイアが独断でこのルルシア聖皇国にやって来たのは手柄を立てるため。落ちこぼれの自分にもそれくらいは出来ると認めて貰いたかったのだ。


 だが、あろう事か、勇者召喚の非道を報告しようと考えていた矢先に、自分自身が勇者達よりも強いであろう力を手にしてしまった。(春人は例外だと思っているが)親に期待されるような普通の人生を歩める事がレイアにはとても嬉しかった。


「じゃあ。レイア。俺は弱いままだから、これからのモンスター退治は全部任せるね。とりあえず、野菜が育ったみたいだから料理を作るか。はいこれミスリルナイフ。」


 レイアは秀人からナイフを受けとると咄嗟に鑑定していた。


「えええっーー! 鑑定がなくとも武器と防具の攻撃力と強化耐久値だけは、装備者のステータスに表示されるの。この武器は元々、攻撃力355の強化耐久値が3905だったの。」


 Before

『アレオパゴスの宝刀ジュエルナイフ

 攻撃力355 強化耐久値(11)3905

 材質:ミスリル

 スキルスロット:無し


 After

『アレオパゴスの呪殺宝刀カースナイフ』 

 攻撃力415 強化耐久値 9545

 材質:ミスリル

 スキルスロット+1

 特殊効果:5%の確率で攻撃した敵の全ステータスを70%にする。



「攻撃力はまだしも、強化耐久値がありえないのっー!」


「レイア。そんな事より、水飲むか?【道具生成】コップ×2。」


「水? 飲みたいけど、こんな所に水があるわけ。」


「【アクア ピーラ 】はいよ。」


「お兄ちゃん。……魔法使えなかったんじゃ? それに普通は魔法で出来た水は飲めないの。水だけど美味しくないの。」


「ゴクゴク。魔法だけは生活にいろいろ使えるだろうと思って四属性のやつをさっき取得した。ゴクゴク。うん。美味しいぞ。たぶん。俺のスキルや魔法は快適生活に引っ張られる。」


「もうお兄ちゃんには驚かないの。……きりがないの。」


「レイア。これから俺は料理を作る。悪いけど、周辺の警備がてら燃えそうな木の枝を集めて来てくれるかな?」


「分かったの。がんばるなの。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る