男 冒険者パーティー①

 コユキを連れ、移動手段が劇的に遅くなった一行は、この世界の常識を知る為にも他の冒険者に次の街までの案内を頼む事になった。


「春人。ギルドの登録が終わったんだよ。ペーパーランクのGなんだよ。」


「良かったな。これでコユキも冒険者だ。これから一緒にランクを上げて行こうな。」


「うん。ありがとう。」

 

 ギルド職員のアミンが金貨を持って受付に出て来る。


「春人さん。こちらが魔石以外の買取りの代金です。今から読み上げますので、金額をご確認下さい。」

 

「うらら。確認を頼む。」「うん。」

 

魔石は大きさが価格に直結し、色が単位に直結する。ウィバーンの素材にあった魔石は大きさが12㎝(13,500)で紫色だったので千ゴールドの単位になった。それを金額にすると1,350万ゴールド。

 

 春人達は先のウィバーンの素材で魔石以外の素材を売り、ギルドから1,835万ゴールドを貰った。ギルドでは他の冒険者からの買取もある為に買い取れる限度額が2,000万まで指定されたのだ。

 実は春人達が納品したのは、危険視されていたアゴラ王国で暴れる個体の群れのうちの1体だった。つまり見た目では判別出来ないが、アゴラ王国には10体ものウィバーンの脅威に晒されていたのだ。うららは10体の全てを倒し、9体は春人がマテリア化していた。

 

 ウィバーンはアゴラ王国で一番強力な魔物でもあり、それは龍に数えられる。全ての素材を売った場合の合計金額は春人達の想像を超えるような3,185万ゴールドだった。街のギルドで支払える金額を超えた為に魔石だけは売る事が出来なかった。


「それでは買取りした素材と金額を読み上げます。

 龍脳 50万G

 骨髄 80万G

 龍血 10万G×50=500万G

 龍尾 60万G

 龍翼 60万G

 龍瞳 50万G

 龍鱗 250万G

 龍腕鱗甲 40万G

 龍脚鱗甲 50万G

 龍腹鱗甲 200万G

 龍大骨 20万G×5 100万G

 龍中骨 10万G×3 30万G 

 龍小骨 5万G×3 15万G

 魔晶石 100万(龍宝玉小)

 翼爪 10万(セット)

 爪 5万×6 30万G

 牙 5万×30 150万G

 龍袋 30万

 龍ヒレ 30万

 合計金額が1,835万ゴールドになります。」


うららが報酬を確認する。


「白金貨が10枚で1000万ゴールド。大金貨が6枚で300万ゴールド。金貨が50枚で500万ゴールド。小金貨34枚で34万ゴールド。銀貨10枚で1万ゴールドね。金額はぴったりよ。」


「ありがとうございます。それとアミンさん。依頼を二つお願いしたいんだけど、良いですか?」


「この街の冒険者に、春人さんにも難しいような依頼が達成できるかは甚だ疑問ですが、お聞きしましょう。」


「俺達を何だと思っているのですか。依頼したいのは、人探しです。愛媛夏という人物を見つけて欲しい。成功報酬で300万ゴールドを出します。これが似顔絵です。また発見が成功した場合。本物に辿り着くまでの情報をくれた人には、30人まで10万ゴールドずつを支払います。この依頼をなるべく多くのギルドに出したいんだけど、出来るますかね?」

 

「……問題はありませんが、成功報酬が高すぎです。なるべく多くのギルドへ依頼となると、別でお金が掛かりますから。」

 

「いくら掛かります?」


「行方不明者の捜索などの場合、ギルド本部に200万ゴールドを支払う事で、世界中のギルドに依頼が出せます。国内だけなら20万ゴールドです。それと本人確認はご自身でなさる事は可能ですが、万が一の為に報酬の先払いが必要です。もし見つからなくて、諦める場合でも半額しか返ってきません。その代わりギルドに支払う分も半額は返ってきます。ギルドが見つからない方が得になる事はあってはいけませんからね。捜索依頼の報酬は、単体で受けるのではなく見つけた人がラッキーというものですから、3万~10万ゴールドの報酬が相場ですよ?」


「いや。こっちも捜索には全力で挑みたい。合計1000万ゴールドを渡しておくから、それで頼めますか? 余分の200万ゴールドは返金無しで良いです。ギルドが必要経費に使ってくれて構わないよ。あと、俺達は大陸の最南端の国までは旅を続けるから、道中で各ギルドに顔を出します。」

  

「……多すぎですが、かしこまりました。責任を持って、お受け致します。お金が不正に流れないよう、十分に注意しておきますね。」

 

「アミンさん。ありがとう。あと、もうひとつの依頼だけど、南を目指すのに、次の街まで冒険者に護衛の依頼をお願いしたいんです。俺達はカッパーレザーウッドランクを飛び越えてしまったから、それらのランクのいずれかのパーティーをお願い出来るかな? その場合の報酬の相場も教えて欲しいです。」


「次の街まではここから7日は掛かります。護衛任務は危険ですから、レザーランクの冒険者が最低のランクになりますね。護衛依頼の報酬は、宿の心配がいりませんから、レザーランクの冒険者一人につき600ゴールドが相場です。カッパーだと800ゴールドに上がります。」


「なるほど。冒険者はだいたいどのくらいのランクが多いんです?」


「ルーキーからベテランまで、冒険者の約75%がペーパーウッドレザーです。その他にカッパーが18%アイアンが5%スチールが1%といった所でしょうか。それ以上はランク毎に数える程しかおりません。」

  

「そっか。護衛任務はレザーでお願いします。キリが悪いから、一日1000G出すよ。」


「春人さん。話を聞いてましたか? 一回きりなんですから、むやみにこのギルドの相場を上げないで下さい。」

 

「あはは。せっかく他の話題で気をそらせたんだけど、意味なかったですね。では700Gなら問題ないかな?」


「それくらいなら良いですが……春人さん。Sランクの魔物素材を売って、金銭感覚がぶっ壊れてますよ。捜索依頼の金額が高いのは貴族と黄金ゴールドランク以上の裕福な冒険者の間くらいを基準にしています。国民平均の月収は1万6250Gですから、気を付けて下さいね。」


「……はい。」


「では、また、夕方くらいにお越しください。相場より高いですから、たぶんすぐに決まりますよ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る