第38話
飯食っていいって言われたから大手を振ってビュッフェテーブルに。
もう二度と食べれないと思ってた王宮のデザートちゃん♡
貴族もいるからランクは下げてないな。よしよし。
「マジかよ!?一切躊躇なく飯に行くんだ」
ジャックが声かけて来た。
「だって社交したいわけでもないし」
「お前たちに話しかけたいらしい連中が引いてるぞ」
ほー。あてら田舎者ですけ、うまそな飯さあったば真っ先に食べんがことするばいね。
どこの方言か適当色々ミックスでもお送りしました。
「いーけどよ、あの顔みてやれよ」
私たちの出自が気になってる組と、マナーを知らぬ平民めって蔑んでる組がはっきり分かれてる。
この顔見て気付かない人ばっかなら良かったけど、半々か?
「其方ら、Aランクになったとか。我が国に誉高き者が増えて嬉しきことよ。当家の護衛に迎え入れたい」
お金の匂いがムンムンするおじさんが話しかけて来た。
「あー、爆炎の翼と白銀の双竜よ。我がドグス家に雇いたい」
何言ってんだ。Aランク二組をお抱えにしたいだと?
ってドグスってお前か!!!!
ん?でも聞いていたよりちょっと若いな。息子とかか。
「国家戦力並みに私兵を揃えたいと?」
ルカが低い声を出す。
「そんな大仰ではない。我がドグス家の安全を確保したいだけよ」
居丈高い態度のおっさんにイラッとくる。
「Aランク冒険者に自分たちだけを守らせたいということか?」
近くにいたギルマスが割って入ってきた。
「そのようなことは申しておらぬ。いざとなれば派遣させるぞ」
「ふざけんなよ!冒険者は護衛が副業だ」
背丈もガタイもいいギルマスにメンチ切られながら押されてるおっさん。小物臭プンプンだ。
「Aランクをギルドから引き抜こうとした場面をしかと見届けた。冒険者ギルドはギルドマスター、ライナスの名において今後ドグス家の依頼を全て断る」
「白夜の梟が承認する」
ギルマスとライナスに目線を送られる。
「爆炎の翼が承認する」
「白銀の双竜が承認する」
どうやらAランクが揃って承認するとより効果が高いらしい。
しかし二つ名を名乗るの恥ずかしいからやめて欲しいな。
同じようなことを考えていたらしい貴族がこそこそと後ろに消えていった。わかりやすい奴らめ。
ドグスは真っ青になってる。さっきまでの太々しい顔を維持しなよ。
「おやおや、陛下もいらっしゃるこの場で、私の主催のこの祝いの場で!何をなさっておいでかな?ドグス小侯爵」
小侯爵・・・やっぱ息子か。良い年なのに親父の方が権力を手放したくないのかな。
「いや・・・若くて強いなら我が騎士団の補強に欲しくて・・・」
「ほほぅ?Aランク一組でもかなりの戦力、二組同時にとは国家に何か思うことがおありかね?」
「滅相もない」
アロンド公爵が蔑みの目で小侯爵を見下す。
「具合が悪そうだ。休んできてはどうかね」
とっとと出ていけって感じか。
ジュリーさんの父親はさっきのやたら娘を強調していた時よりは頼もしくまともに見える。
「すまんな。私の招待した者の中にこんな小物が混ざっておったわ」
ドグス小侯爵はスゴスゴとしつつも悔しそうな目で公爵を睨め付けて去った。
最後まで小物臭。
「改めて、新たなAランク冒険者の誕生を祝おう」
公爵が手を振り、近くの給仕が飲み物を運んでくる。
ザッと鑑定したけど混ざり物はない。
ルカと頷き合いグラスをもらった。
アウルやジャックも似たような行動をしていた。
「では、若き勇者たちの未来に!乾杯!!」
「「「「「乾杯」」」」」
んー、多分高級なシャンパン。十六じゃ飲む機会なかったしね。
前世での味を覚えてない。
飲みやすい味でよかった。
「其方たちのおかげで我が娘は無事に戻った。向こう見ずの仕方のない娘が迷惑をかけたようで申し訳なかったな。亡くなった冒険者の家族にはそれなりの補償をする」
お、親バカであのお嬢様と同じような考え方かと思ったら、ちゃんとした感じだぞ。
「私にも立場があるのな。婚約破棄した娘の価値をこれ以上下げたくないので持ち上げたが不愉快であったならすまぬ」
んーーー、ちょっと腑に落ちないけど、別に補償してるなら良いのか。
文句を言う権利は亡くなった冒険者の家族だけだ。
「アロンド公爵、娘の価値を下げたくないなら冒険者は辞めさせろ。大義があろうが冒険者の決まりを守れず正義を振り回されたらかなわん」
「すまんな。ライナス。アレは言い出したら聞かんし、それなりに能力がある。だが今回のことで自分の考えだけではどうにもならんと学んだであろう」
ギルマスは王都にいるだけあって公爵とは顔見知りか。
ジュリーさんが登録したのも多分王都だろう。登録は誰でも出来るから断れない。
しっかし、王子妃教育の中で冒険者のランク上げか。ガッツはすごいけど、考え方が世間知らずな高位貴族だったんだな。
「白銀の双竜の二人には娘が迷惑をかけたようだな。強い冒険者に憧れがあって勝手な冒険者像を持っていたようだ」
それってライナスの〈隻眼の大鷲〉とかかな。
「彼女の気高さは好ましいが、それは冒険者には向かない資質だ。清濁飲み込めぬ者が王者に向かぬように冒険者もまた綺麗事だけではない」
アウルがそう話すと公爵はちょっと眉を上げた。
お嬢様が王族向きでもないと言ってるもんね。
過去のお妃様が全員王家向きだったかは歴史書にあるように否なので、別に血筋と王子妃教育をこなせれば良いんじゃないかな。
あの気の強さじゃ、旦那(王子)を尻に引いて強引な政策通しそうだったけど。
「ほど良き相手を見繕うが娘のためだと思うぞ」
ライナスもアウルも結構ズバッと言うな。
ご機嫌だった公爵が顔を引き攣らせてるぞ。
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