第14話 ランジェリー
アタシはついに自分の思い描く身体になった。
そして女性の聖地、下着売り場に来た。
今までは、ネット通販でしか買うことが出来なかった下着でも、今は堂々と行ける。
「いらっしゃいませ。ブラジャーをお探しでしょうか?」
「あ、はい。でもサイズをちゃんと測ったことがなくて…」
「それではサイズを確認致しますね。失礼します」
女性店員は洋服の上からアタシの身体に触れ、メジャーでサイズを測った。
「アンダーは75でギリギリか、もしくはゆったりと80にするかで、カップサイズも変わってきますね。どれかお気に召した物がございますか?」
「それじゃ、このピンクとこっちの黒と…、あとこれの赤を付けてみたいです」
「かしこまりました。サイズは全部揃っておりますので、大丈夫ですよ。それではお品物をお持ちしますので、試着室へどうぞ」
「あ、はい…」
アタシは女性店員の言うがまま、試着室へ踏み込んだ。
「それではどれからでも構いませんので、着けてみて下さい。一つ一つ確認しますので、着けた頃にお声かけますね」
アタシの胸が高鳴った。いよいよ女性としての下着が、今、目の前にある。
アタシはピンクのブラジャーから試着した。
「着けられましたか?」
「はい」
「それでは見せて下さいね。失礼します」
女性店員が試着室に入って来た。アタシは男だとバレないか、ヒヤヒヤしていた。
脱毛も完璧だし、ボディクリームも塗って肌ツヤもキレイにしている。おそらく大丈夫。いや、きっと大丈夫…。
「こちらですと、後ろのホックを端にして頂きますと、このサイズでピッタリですね」
サイズはC75だ。
「それでは次のもお願いします。また見せて下さいね」
次は黒を試着。
「着けました」
「はーい。では失礼します。こちらのタイプですと…。少しお待ち下さいね」
女性店員は一度試着室を出てサイズ違いを持って来た。
「こちらを着けて頂けますか?」
アタシは言われた通りに、別のサイズを着けてみる。
「それでは失礼します」
また女性店員が確認。
「うん。こちらのサイズの方が合いますね。いかがですか?」
「はい。こっちの方がしっくりします」
「こちらはアンダーが伸びにくいですので、こちらですとB80ですね。よくお似合いですよ。それでは最後に、こちらの赤をお願いします」
「はい」
アタシは赤いブラジャーを着ける。なんてキレイなブラなんだろう…。
「着けられましたか?ではまた失礼します。わぁー。とても素敵ですね。よくお似合いですよ。こちらですとC75ですね。こちらのお品物はすごく肌をキレイに見せてくれる赤い色なんですよ。レースも繊細に作られておりますので、とても人気のあるお品物なんです。それではお着替えして下さいね」
褒められると嬉しい。
「お疲れ様でした。いかがでしたか?」
「はい。それじゃこのブラ3枚と、スリップとショーツはお揃いで欲しいです。あと、Tバックも見せてくれますか?」
「はい。かしこまりました。そうですね。こちらのブラに合いそうなTバックですと…」
女性店員は5枚程出して見せてくれた。
「Tバックは長めのタイプの方が履きやすいんですよ。こちらがオススメですね」
「分かりました。それじゃこれ、全部下さい」
「ありがとうございます。そうしますと…」
金額は7万円超えるくらいになった。ちょっと予算オーバーだったけど、女子力アップにはランジェリーはとても大事。
一括払いのキャッシュで支払いしたから、女性店員は少し驚いていたし、顔がかなり緩んでいた。おそらくこの金額をキャッシュで支払う客は、珍しいのだろう。
「ありがとうございました。またお越し下さいませ!」
アタシは大満足でその場を立ち去った。
✤✤✤
早速赤いブラジャーとTバックを付けてみた。その上からお揃いのスリップをスルリと重ねてみる。アタシは想像以上にセクシーだと思った。
姿見の前に立ち、体を左右に揺らしながら後ろ姿も確認。
「素敵…」
アタシが夢見ていた姿がそこにあった。
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