第25話 犯人
どうやら僕は童話の中に紛れ込んだらしい。
身体は紙のようにペラペラだし、周囲にもトランプの兵隊が溢れかえっている。薔薇には赤色のペンキが塗られた庭で、女王の声が響き渡った。
「やったのは誰だ!」
すると、一斉にトランプの兵隊が僕を見る。
「こいつです!」
「こいつが薔薇を踏みました!」
僕は何もしていない。というか、何も分からない。
首を振って俯いてみると、足元には萎れた白薔薇が転がっていた。
「そうか! そいつは処刑だ!」
あっという間に僕の身体は拘束され、女王の前に引き摺り出された。
僕が何をしたというのだろう。
女王の瞳を見詰めてみる。その奥には蟻を踏み付ける人間の僕の姿が映し出されていた。
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