第16話 自由


 空は良い。何処まででも自由だ。

 機械仕掛けの翼をはためかせて両腕を広げる。

 このまま何処へ行けるだろう。隣の星にも行けるのだろうか。科学者の探究心は尽きない。

 それにしても寒い。地上から離れれば離れる程に体感温度は下がってくる。しかも息苦しい。

 何がどうしてこうなっているのか、私にも分からない。何しろ前例がないのだ。

 そうだ。もっと太陽に近付けば温かくなるだろうか。

 星が発する温もりを求め、尚も地上から離れていく。

 気付いた時にはもう意識が朦朧としてきてしまった。必死にメモへ走り書きをする。


 このメモを見た者へ

 空は危険だ。決して飛ぼうとするな。自分の命が惜しければ──

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