第19話
楽しそうに話をするファインたちに近づく。
「ファイン、それにみんなも協力してくれてありがとう」
みんながお礼を返したが、俺の目的はそこじゃない。
「ファインのパーティーには離れの空き家を用意してある。今日はいつもと違う雰囲気の場所で過ごして欲しい」
主人公のハーレムイベントだ。
主人公が3人のヒロインとアレをスル。
「ついて来て欲しい」
「いいのか?運営が苦しいんだろ?気を使いすぎだぜ」
「いや、入学早々迷惑をかけたのに、たくさん協力してくれただろ?」
ログハウスにみんなを案内する。
「食材と調理器具は揃っているから、好きに使って欲しい。じゃ!」
俺はすっと現場を離れた。
会場に戻るとチンカウバインがしなびたようにテーブルに寝ころんでいた。
「あ、やべ!魔力補充だよな」
「ま、りょくを」
俺は何度もチンカウバインに魔力を補給した。
夜になる前にパーティーは解散となり、俺は皆が後片付けをする中、屋敷のベッドに横になっていた。
途中で倒れたのだ。
「具合が悪い」
だが、やり切った。
みんなに店を知って貰えた。
これから定期的に周りの領地から人が買い物に来るだろう。
更に領地で不足する物資は売りに来てくれる。
目をつぶって休んでいると、夜になり、辺りが静かになった。
「フィール君、大丈夫?」
「アイラ、大分良くなって来た」
「もう、無理しすぎだよ」
「そうだな、でも、うまくいった」
「お父さんが喜んでたよ。たくさん売れてたくさん利益が出て、宣伝効果はかなり大きなものになるって」
「そっか、良かった」
「……ファイン君たちは、一緒に離れた所に泊まるんだね」
「そうだな」
アイラの顔を見ると赤い。
ファインが、夜何をスルか分かっているんだ。
「……」
「……」
「わたしね、迷っているの。学園をやめてここに住めばフィール君の領地を助けられるかなーって。でも……フィール君と離れたくないよ」
アイラは学園をやめるかどうか、迷っている。
日本にいた時の俺なら、悩んで自分で決めようと言っていたと思う。
でも、それはしたくない。
「アイラ、学園に戻って調合スキルを学んでみないか?この領地には昔薬を作ってくれるおばあちゃんがいたんだけど、今はいないんだ。それに、いや、違うな」
アイラは黙って俺の話を聞いてくれた。
「俺は、毎日朝学園に通うとアイラを見ていた。学園に入学してから毎日目で追っていた。ある日、気づいたんだ。そうか、俺は、朝アイラに会って、おはようと言いたい。アイラにおはようと言いたい。貴族としては失格だけど領地経営は後回しで、アイラにおはようと言いたい」
「私は、皆みたいな特別な人間じゃないよ。いいの?」
アイラが不安そうな目で俺を見た。
周りにいる人間は特別な力を持っていた。
『オールラウンダー』『姫騎士』『聖女』でも、関係ない。
まとまらなくてもいい。
伝えよう。
特別な人が好きになるんじゃない。
好きな人が、自分の特別になるんだ。
「俺は、アイラの事が好きだ!好きなんだ!」
アイラが涙を流した、そして急に立ち上がった。
「アイラ?」
アイラが、着ていた服のボタンに手をかけた。
そしてすべてのボタンを外してワイシャツを折り畳み、机に置いた。
スカートを脱いでスカートも折りたたむ。
布の擦れる音にドキドキする。
椅子に座って靴を脱ぎ、靴下も脱いだ。
更に下着をすべて外して後ろを向きながら下着を畳んで服の上に置く。
目が、離せない。
アイラは生まれたままの姿になって大事な部分を隠しながらベッドに座った。
その後、両手を前についた。
「よろしくお願いします」
アイラは綺麗に土下座をした。
ここまでされれば、どういう意味かは分かる。
俺がアイラの背中を撫でた瞬間に「ふぁ!」と小さく声をあげた。
アイラの体が硬直している。
でも、その姿が可愛くて、
「アイラ、もう、止められない」
「フィール、君」
◇
アイラがよだれを垂らしながら小さく震えていた。
「アイラ、大丈夫か?」
「……」
アイラはうつろな目で俺を見つめる。
「……じゃない」
「え?」
「大丈夫じゃ、ないよ、私がおかしくなってるのに私に魔法をかけるのは駄目だよ。バイブレーションは駄目だよ。私のどこが弱いか見えてるよね?妖精の力を使って弱い所だけ責めるのはずるいよ」
俺にはエロに関しては最高のナビゲーターがいる。
『もっとだよ!今バイブレーションをかければアイラは最高の快楽を味わう事が出来るよ。アイラはただ、自分が操られるように良くなってしまう事に戸惑っているだけだ。アイラはまだ余裕があるよ!もっとだ!限界を超えたアイラの顔を見たいんだよね?』
悪魔のささやきが聞こえ続ける。
「アイラ、ごめん」
「もう、次からは」
「もう我慢できない」
「え、ちょ!○×△◇~~~~~~~~~~~~~!」
◇
チュンチュンチュンチュン!
アイラは、しばらく起きないだろう。
俺は、チンカウバインに、悪魔のささやきに、負けた。
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