第10話 七夕の夜に「そうめん」完結編

若は、こんなんだけど、屈指の剣術使いだ。

動体視力も素晴らしい。

身体能力もずば抜けている。



弁慶が放つ空飛ぶそうめんを目でおいつつ、掴めなかったそうめんが着水する睡蓮鉢へと走り、すくって食べては、また空飛ぶそうめんを追いかけていると、

「天の川……」

そうめんが、天の川と重なって、キラキラ光りながら飛んでいく…

それは、まるで、天の川の水面のさざなみのよう…


「綺麗だな……」

そう思った瞬間、川の流れのように飛んでいるそうめんが止まって見えた。

「えい!!」

若の気合いの声が、響き渡る。

「若?」

驚いた弁慶が声をかける。


若は、集中していた。

「はぁ!!」

そう声を発すると、持っていた箸を、勢いよく真上に掲げた。

その箸は、空を切ることなく、そうめんの長さの半分くらいのところを捉えていた。

そうめんをパシッと箸で挟むと、そのまま手を半月の弧を描くように回し、勢いをコントロール。そうめんは、麺つゆをはね飛ばすことなく、すっと椀の中に収まり、若はスルッとそうめんをすすって食べたのだ!?


その流れるような動きは、まさに芸術の域!

弁慶は、思わず見惚れてしまった。


「さすが、若です!素敵です!!」

弁慶は、手叩きして喜んでいる。


「ふむ。悪くない。そうめんが、天の川を流れているような錯覚に襲われた。粋だな。これぞ、本当の流しそうめんなのでは?」


弁慶を見ると、とても嬉しそう。

若も嬉しくなってきた。


「さすが弁慶!これは粋だぞ!早くそうめんを流してくれ!」

「は!!行きますぞ!!」



若と弁慶は、用意したそうめんがなくなるまで、はしゃぎ続けたのでした。


めでたしめでたし。



いや、まだまだ続きますぞ!

拙者と若のこれからを見守ってください!

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