第2話 謎編2 バンクーバー(聞き方?)、バンクーバー島(休憩室で?)
「奴さん、マッサンと言うんですが、あ、さっき言いましたか。最初に滞在したのはバンクーバーだそうで、1週間ほど滞在し、その間にバンクーバー島とかにも足を延ばしたそうです。そこで2度ほど意味不明と言うか不可解なことがあったそうです」
「ふうん、不可解ねえ」
「なんでも、最初にバンクーバーのYMCAに5泊したんだそうですが、たまたまそこで30歳ぐらいの日本人男子に遇ったので気楽に話しかけたら話が合ったとみえ、昼間は別行動をとったけど、夕方以後の宿ではよく2人で休憩室で会話をしたんだそうです。彼はキートンと言うらしいんですが、アメリカメインでサンフランシスコ、ロサンゼルスに長期滞在した後、ゆっくり北上して来て数日前カナダに入り、数日後には帰国するのだそうです。マッサン、海外旅行のスキルが聞きたかったのでいろいろ質問したら、現地での出来事や感じたことを詳しく話してくれたらしく、相槌を打ちながら楽しく聞いたようです」
「それで?」
「彼が帰国した夜、別の日本人男子に声を掛けられたんだそうですが、その人の言うのにはマッサンはキートンと話をするとき、何度もあまり品の良くない言葉を口にしていたと。ある程度英語の話せる彼が同宿の白人男性からそう聞かされたとのことです」
「品の良くない言葉か」
「マッサンの話では、初日は対等に話したがあとの2日間は相手の旅先での出来事や感じたことの説明を聞くことが多かったそうです。それだけなのに、なんでそう思われたのか解せないとのことです」
「それで、どうなったの?」
「マッサンは英語は殆ど話せないし、人に訊いてもらうのもちょっと…。それで結局、そのままになったままだそうです」
「マッサンは殆ど聞き手だったんだね?」
「そのようですよ。相槌打ちながら、楽しく真剣に聞いていたそうです。先生、何か解りそうですか?」
「ふふ~ん。解ったような気もするが…。まあ、マッサンに確認してみないと確信は持てないな。」
「えっ、もう解ったんですか? 説明してください」
「確信は持てない。まだ他にもあるん?」
「いっぱいあります」
「では一通り、聞くとするか」
「バンクーバーでの謎は一先ず忘れて、バンクーバー島を訪れたときのことだそうです」
「バンクーバー島か!」
「先生、行ったことあります?」
「ない」
「えっ⁉、…」
「どうしたの?」
「いえ、何でもありません。バンクーバー島ではアバターの森とかで屋久杉ほどではないが巨樹の森をトレイルしたり、何とかガーデンの散策ややホエールウォッチングを楽しみ、2泊した帰りのフェリー乗り場での休憩室のことで…」
「休憩室がどうかしたの?」
「フェリーのチケット売り場で、年配のご婦人に休憩室がどこにあるか尋ねられたんだそうです」
「英語で説明できたの?」
「初日にバンクーバー島に着いたとき現地でのフェリー乗り場の内部の様子は把握してたので、問題ないはずだと言うんですが。1階はチケット売り場の他にレストランが1軒、土産物店が1軒だけで、階段を上がれば右に行けばトイレがあり、左に行けば休憩室があるそうです。それで彼は得意のジェスチャーも使って『ゴーアップ、レフト』とか言って説明したそうです」
「なるほど、なるほど」
「『英語、苦手だが何とか役に立ったな』と気分を良くして帰りのフェリーに乗って、甲板で港の様子を眺めているところへ先ほどのご婦人がやって来たので、お礼を言ってくれるのかと思いきや、何か不機嫌そうなんですって。まあ、礼を言われるほどではないが、会釈だけで仏頂面して通り過ぎるのは無愛想過ぎないかといささか気分を害されたようです」
「まあ、海外旅行初体験ではよくあることだろね」
「えっ、よくあるんですか? 休憩室で何かあったんですね、何があったんですか?」
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マッキーです。
休憩室で何かあった? 何なんでしょう?
賴光先生、もう解ったんでしょうか?
まだ他にもあるようですね。
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