第六章 109 機械仕掛けのアーティファクト
起動させたエレベーターからピラミッドの内部に入る。数十時間の距離を下降したところでエレベーターが停止し、その電子盤の様なデザインをした緑色に発光する両開きの扉が開く。
エリックとユズリハにとっては見たこともない物質で構成された、超未来の技術が凝縮された地下都市。逆に発展した月の民であるアガシャと、その超文明を崩壊させて来た神々の三人にとっては、それらが危険なものであると直ぐに理解できた。
「何だこりゃ……? これが大虐殺で滅びたはずの機械文明ってやつなのか? 見たこともない材質で出来た建物や巨大な塔に、向こうには街みたいなものまである。床の金属も何で出来ているのかさっぱりだぜ」
「とんでもない距離を降りた気はするけど、天井が見えないくらいの高さにあるわ。光源は……上空に丸い球体の様な光る物体が一定距離ごとに設置されてるみたいね……。もう意味不明よ」
初めて目にする超文明、機械時代の科学力に驚きを隠せない二人。
「ティミス様……、これは……」
「ええ、アガシャ。私の管轄している月よりも遥かに進んだ文明の様ね。過去に崩壊させた機械文明でもここまでの進化を遂げている都市など見たことがないわ」
「危険な匂いがぷんぷんしやがるな。サーシャ、何かわかるか?」
「恐らくここがこの地下都市の中心部だというくらいね。今乗って来たエレベーターが一本の塔の様に地上に繋がっている。そしてこのまま真っ直ぐ進んだ所に見える、あの巨大な台座に据えられたクリスタルが何かの投影装置になっているみたい。人の気配は感じられない……。いや、これは……?」
「ああ、恐らく
他にも奇妙な気配はあるが、結界の様な何かに阻害されて神々の目でさえはっきりとは視えない。だが、それでも都市の中に僅かに感じられるものがある。
「……神気だ」
「よく気付いたな、エリック。ありえねえが神気を感じる。ってことは……」
その言葉に苦い表情をしてティミスが答える。
「そうね、神が存在しているわ。恐らく大虐殺に反対していた勢力の誰かが……」
「でもお姉様、最終的には全会一致で処罰は決行されたはず。邪神に身を窶した者達は封印された。裏切者がいたということは聞かされていないわ」
「だが現にこうして神気を感じる。恐らくかなり制限しているのに隠しきれてねえ。こいつはかなりの猛者だぞ」
「ルクス師匠、ここで言い合っても埒が明かねえ。まずはあのクリスタルまで行ってみようぜ」
全員がエリックの言葉に首肯し、前へと歩み始める。その瞬間、巨大な球形をした眼球型機械の集団が何百と飛来して来て周囲に集まり始める。
ビーッ! ビーッ!! ビーッ!!!
《侵入者発見! 侵入者発見! コノ都市ノ住人データト一致セズ! 迎撃セヨ! 迎撃セヨ!》
アラーム音を発し、その浮遊している機械の眼球から白いレーザーが一斉に放たれる!
「サーチアイか?! 防御するか避けろ! モロに喰らうな!」
ビッ! ビビビィッ! ドゴオオオッ!!!
「ちっ! 危ねえ!」
「
パパアーン!!! ズガアアアンッ!!!
ルクスの指示ですぐさまレーザーを大剣で薙ぎ払うエリック。ユズリハは咄嗟にPT全員を守る巨大な反射盾を形成し、跳ね返して何体かを撃ち落とした。
「全く、問答無用過ぎね! 行くわよ、アガシャ!」
「はい!」
二手に分かれて飛び出したティミスとアガシャの手に神器が握られる。そして魔力で番えた矢を上空に放つと同時に、それが一斉に散って雨の様に目玉の機械共に降り注ぐ!
「「
カッ! ドドドドドドドドドッ!!!
その輝く矢の雨に串刺しにされた機械の集団は爆発して消滅した。
「気味の悪いからくりだな。しかも喋りやがった」
「これが機械文明のシロモノなの? こんなのがいるんじゃ滅ぼされても当然って思えるくらい危険だわ」
「いえ、ここまで発展している程の文明は余りにも奇抜よ。今のレーザーには僅かに神気が籠められていたわ」
ニルヴァーナの文明レベルしか知らない二人にとって、サーシャの言葉は衝撃的だった。普通の人間が神気を扱えるはずがない。背後に神の存在があるのは明白だからだ。
ひとまずの脅威を取り除いた一行は、再び前方にあるクリスタルが供えられた台座へと向かった。周囲を警戒したが、あの目玉以外には特に何も目につかない。本来はあれで全て外敵を迎撃できるレベルのシステムなのだろう。
台座に近づくと、縦長の立体的な六角形、六角柱をしたブルーのクリスタルが輝き、そこに
《お前達は何者だ? 儂はこの地下帝国バベイルの皇帝イグナーツ。機械神の加護の下、永き眠りに就いている神々の暴挙を免れた一族である。名を名乗るがよい》
地上世界では見たこともない技術に圧倒されるエリックとユズリハ。代わりにルクスとサーシャが前に出る。アガシャに覆い被さっているティミスはどうでも良さそうな表情をした。
「俺達は地上世界からピラミッドの内部に調査にやって来た者だ。今機械神と言ったな? そいつは何処にいる?」
「眠りを妨げたことは謝罪しましょう。ですが、この地下帝国の入り口が地上にせり出し、
《儂の肉体は永い眠りに就いておる。意識のみをここに投影させておるに過ぎぬ。だが、そうか……。遂にピラミッドが地上に顔を出したのか。ではやはり世界が混沌の時代に突入したのだな。デマキナ様の予言通りだ。して、ここまで辿り着いたということは入口の
「何勝手なことを言ってやがる。長きに渡り地上に数多の争いを引き起こし、他の惑星も汚染し破壊した行為を神々が裁いたに過ぎん。それよりも今デマキナと言ったな? それは機械神アデクストマキナのことか? ずっと行方知れずになっていたと聞かされていたが、まさかこんな所にいやがるとは……。今すぐそいつを連れて来い。そうすればこの地下都市程度は見逃してやる。このレベルの機械文明はどの道
《相変わらず神というのは手前勝手なことを言う。それこそまさに神の驕りと言うもの。そして入り口が地上に出たということは人類が生活できる環境に世界が創り直されたということだ。虐殺を免れた我らが漸く日の光の下に出られるということ。それを邪魔する権利など、神であろうが持ち合わせておらぬわ!》
「外に出て何をするつもりですか? まさか過去の国々の様に他を蹂躙し、戦争を巻き起こす訳ではありませんよね……?」
サーシャの声が威圧的になる。今のニルヴァーナはそれなりに平和な世界。そこにこの様な科学力を持った国が、しかも魔王領から人類の壁の役割を果たしている軍国カーディスの領地内に出現すれば、復興中とはいえ一触即発となるのは目に見えている。
《それは外の世界の国々が我らをどう迎えるか次第。牙を剥くようであれば相応の対応をすることになろう。我らは世界が発展するまでの永き時を、眠りに就いて待ち望んで来たのだ。それを邪魔するものは排除するだけのこと》
「ふざけるなよジジイ! 俺らは外の世界の人間だ。どっちが手前勝手なんだよ? 気に入らないとさっきみたく爆撃しようってことか?」
「そうよ! みんな必死に生きているのに、そんな勝手な奴らが出て来られたら世界が混乱する。ずっと寝とけばいいでしょうが!」
感情的になったエリックとユズリハが噛みつく。この時代、この世界に住んでいる者としては当然の主張だ。
《ほう、変わった耳をした小娘がおるようだな。今の外界には妙な種族が存在しているということか。面白い、それら全て調べ上げなくてはならぬのう》
「っ! こいつ……!」
「もういい、ユズリハ。譲歩してやったがこいつらは本来あの時に滅ぼさなければなかった連中だ。科学力が発展し過ぎて倫理観などぶっ飛んだ奴らだからな。口論するだけ無駄だ。この地下都市は全て破壊させて貰う。一人残さずな。神々の失態だ。ここで無駄な禍根は断ち切ってやるよ」
「ええ、残念だけど。こんな危険な思想の人類が外に出たら、今の文明レベルじゃ太刀打ちできない。気は乗らないけど……。世界の調和を保つ為、戦女神の名の下に断罪を行使する!」
「はぁ、仕方ないわね。神々の失態は神が贖うのが道理。アガシャ、ユズリハにエリック、あなた達はこの件に手出しは無用。神の業を背負う必要はないわ。先に外に出ていても構わない。我も月の女神の名の下に断罪を行使する!」
ジャキィイイイイン!!!
三人の神々が神器を解放する。
《フッ、勝手なものよ。だがタダでやられはせぬぞ!》
「言ってろ。この程度の大きさの空間なら数分で制圧可能だ。戦神の名の下に裁きを執行する! 先ずは鬱陶しいこのクリスタルから粉々にしてやるぜ! 喰らえ!」
ルクスが神器の大剣を振り被った時だった。その眼前に目を閉じた銀髪の男の神が転移で現れたのは。
「待ちたまえ、ルクス。相変わらず血の気の多い男だな、君は」
「よう、久しぶりじゃねえかデマキナ。行方不明ごっこは楽しかったか? ここの連中を庇って大虐殺を免れたのも、テメーの遊びだったって訳だ。違うか?」
「私は機械を司る神。超発展をした文明を救いたいと思っても不思議ではなかろう? 神々の総意とは言え、自らの努力で発展した人間達が多少は愛おしくもなろうさ」
「ああそうかい、だが今はテメーの勝手な気まぐれを聞いてやる程暇じゃねえんだよ! わかったらすっこんでいろー!」
ガキィイイイン!!! パアーン!!!
デマキナが抜いた、輝く機械で出来た銃剣の神器でルクスの一撃が弾き返される。
「ちっ! 相変わらず小賢しいな……」
「君は何も変わらないな。その直情的な姿に剣技といい」
「うるせえ、いつまでも調子こいて座禅組んでるんじゃねえぞ」
師の神器が弾かれたことにエリックが動揺する。
「何だあいつ?! ルクス師匠の神器をあんな妙なもので弾き返すなんて」
「
「ティミスさん……? 何だよ、その滅茶苦茶な能力は?! そんなんどうやって闘うんだよ?」
「全方位から一斉に手数で押し切るしかないわ。でもそれだけじゃダメね。あいつの目を開かせてはならない」
「どういうことですか、ティミスさん?
ユズリハもティミスに問う。
「落ち着きなさい、ユズリハ。私が説明するわ」
「サーシャさん……」
「彼は機械を司るというかなり特殊な神。そしてあなた達でもゼンマイや歯車くらいは知っているでしょう?」
「ええ、あの噛み合わせて回転させる装置みたいなものですよね?」
「彼の瞳は『
「そんな……。それじゃあまるで勝負にならないじゃないですか?!」
「そう、だから目を閉じている間に勝負を決める必要がある。あの結跏趺坐も神気を高める為に自らに課している
「サーシャ、古代人共の掃討という汚れ仕事は私が一人で決行するわ。神々の業をこの子達に任せる訳にはいかない。この程度の数と規模なら直ぐに終わる。それまで何とか耐えて頂戴!」
「わかりました……。お姉様もご武運を」
「アガシャ、あいつの視界に捕らえられない様に立ち回るのよ。いいわね」
「はい、ティミス様!」
一人で都市の殲滅に飛翔して向かうティミス。その背を見送り、皆が自らの神器を構えた。
「イグナーツよ、私が彼らの相手をしている間に民を眠りから起こしてシェルターに避難しなさい。そうすればアルティーミシアに討たれることもあるまい」
《畏まりました、デマキナ様。ご武運を……》
立体映像が消える。皇帝自らが民の避難に向かったのだろう。
「あくまでもあの腐った古代人の味方をするようだな? いいだろう、テメーは昔からすまし顔で気に入らなかったんだ。ここらで白黒はっきりつけてやるぜ! 燃え盛れ! 俺の神気よ! 受けろ、戦神の奥義を!
「フッ、足掻くがいい脳筋が。そんな直線的な攻撃が当たるはずもなかろう!」
ドゴオオオオオオオッ!!!
ルクスが放った奥義が、デマキナの背後のクリスタルを砕き、更にその背後にある都市を両断するかの勢いで叩きつけられる。
(転移で何処かに回避しやがった。お前ら、出て来た瞬間に最大火力を叩き込め!)
((((応!!!))))
フッ!
結跏趺坐のままルクスの背後に転移したデマキナが、神器の銃剣の引き金を引く。
バギィィイイン!!!
ルクスの左肩の神衣を、輝く銃弾が穿つ。だがその瞬間、残った四人が一斉に奥義を四方からぶち込む!
「
「「
「
エリックの大剣からは灼熱の業火の剣閃が、サーシャとユズリハ師弟の槍からは輝く星々の煌きが、そしてアガシャの弓からは巨大な炎の鳥が放たれる!
ゴオオオオオオオッ!!! ドパアアアアアン!!!
デマキナを完全に捕らえた。神々の奥義のぶつかり合いで轟音と共に激しい閃光が散る! これで倒せないとなると、明らかにおかしいレベルの威力が炸裂した。あのファーレでさえ結界術で何とか凌いだくらいだ。だが相手の神格を奪った気配がない。
「君達は因果を捻じ曲げるという言葉の意味が理解できているのか? 直線的な攻撃が当たるという終劇を捻じ曲げた。そら、自らの技の威力で自分が吹っ飛べ。
パアーン!!!
「なっ?!」
「嘘でしょ?!」
「「きゃああああ!!!」」
ドゴオオオオオオオッ!!!
放った技の物理的な衝撃のみが四人に跳ね返され、後ろへと吹っ飛ばされる。
グワシャアアアアッ!!!
床へと叩きつけられる四人。だが、神衣の防御性能で致命打にはなっていない。それでも何が起こったのか全くわからない。
見上げると、デマキナの神器が球状に変化し、その体を覆っている。反射結界の様になった神器によって、当たるはずだった衝撃のみが跳ね返されたのか? しかし彼自身も完全に防御出来ている訳ではなく、技の高熱の炎や神気の影響で額からは多少の出血に、神衣も僅かに融解している。
「まあ、それでも全てを防ぎ切れる訳ではないか……。神の奥義をこれだけ集約させられると、さすがに厄介だということかな? 仕方ない。この私が地に降り立つことを光栄に思うがいい」
結跏趺坐を解き、地面に両足を着けたデマキナが、ゆっくりとその両目を開く。銀色に輝く中心の歯車に黄金の小さな歯車が5つ嚙み合わさって回転している、
『デウス・エクス・マキナ(deus ex machina、羅: deus ex māchinā デウス・エクス・マーキナー)』とは、演出技法の一つである。古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在『神』が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるという手法を指す。
由来はギリシア語の『 ἀπὸ μηχανῆς θεός (アポ・メーカネース・テオス) 』からのラテン語訳で、『機械仕掛けから出てくる神』、あるいは『機械仕掛けの神』などと訳される。『デウス・エクス・マキーナ』などの表記もみられるが、ラテン語としては誤りである。通常の複数形は『 deī ex māchinā(デイー・エクス・マーキナー)』もしくは『 dī ex māchinā(ディー・エクス・マーキナー)』であるが、機械にあたる語も複数形になる 『... ex māchinīs(~エクス・マーキニース)』というバラバラ感を強調した表現もたまには見られる。また、女神の場合は最初の単語が dea (デア)、複数形 deae (デアエ) となる。
悲劇にしばしば登場し、特に盛期以降の悲劇で多く用いられている。アテナイでは紀元前5世紀半ばから用いられた。特にエウリピデスが好んだ手法である。
『エクス・マーキナー(機械によって)』とは、この場面において神を演じる役者がクレーンのような仕掛けで『舞台(オルケストラ)』上に登場し、このからくりが『機械仕掛け』と呼ばれたことによる。その由来は、『機械仕掛けで登場する神』ないし、舞台装置としての解決に導く神そのものが機械仕掛けであることとも解される。日本語で思いがけない展開を指す『どんでん返し』、(歌舞伎において、大道具の背景を倒し、瞬時に場面転換する『
古代ギリシアの時点で既にこの手法は批判されている。アリストテレスの『詩学』において、デウス・エクス・マキナは褒められた解決方法ではない、とされている。彼は、演劇の物語の筋はあくまで必然性を伴った因果関係に基づいて導き出されていくべきであるとし、行き詰った物語を前触れもなく突然解決に導いてしまうこのような手法を批判している。また、所謂『夢オチ』はデウス・エクス・マキナであり、某日本漫画家はこれを禁忌とした。ただし現代の、創作のスピンオフ作品においてはデウス・エクス・マキナの例は少なくない。この場合は本編の主人公或いはライバルが、スピンオフ作品の主人公の危機を救うといったケースが多い。
技術的には好ましくない解決とされることが多いものの、舞台の機械装置の発展としては、盛期アテナイ演劇の成果のひとつとして評価される。
デマキナの能力もこの因果関係を無理矢理捻じ曲げ、望んだ結末を手繰り寄せるといった点で似た様なものだ。しかし、当然完璧な能力などない。カーズがファーレの
「ははっ、もう座禅を組むのは止めたのか。出し惜しみしてんじゃねえよ!」
ガキィイイン!!!
回復したルクスが斬撃を浴びせるが、同じ大剣の形状に変化した機械の神器に止められる。輪列眼がルクスの攻撃を先読みし、同じ動作で斬撃を防いだのだ。
「ふむ、やはり君は直線的だな。だがこの目を見せた以上君達の敗北は決定的なものとなった」
「何を粋がってやがる。所詮は先読みが出来るレベルだろうが? その決定的な敗北とやらを見せてみろ!」
「ではこの機械神アデクストマキナの真の力を見せてあげよう。開演せよ、
カッ!!!
「これは?! 神気による固有結界か?」
デマキナを中心に、繁栄を極めたローマ帝国時代を彷彿とさせる、巨大で絢爛豪華な劇場が展開される。
固有結界。展開した本人固有の心象風景や有利な力場を生み出す魔法・神気による究極の戦法。権能が内部一面を支配し、それよりも強力な力でその力を押し返さなければ勝ち目はない。魔力の消費は凄まじいが、それを差し引いても術者に有利なフィールドであることに変わりはない。
そしてデマキナの神器とその権能は、超発展の文明の科学力そのものと、因果を捻じ曲げて望む
展開された結界内に取り込まれたのはルクスとサーシャのみ。人間であるエリック達には何もできないと思ったのだろう。彼らは結界の外に弾き出されていた。
「う、これがデマキナの能力……? ユズリハ達は取り込まれていないみたいね」
昏倒状態から回復し、立ち上がったサーシャが周囲を見回す。
「フッ、神格者達だが所詮人間。大した脅威ではない。先ずは君達二人の神を確実に戦闘不能にさせて貰おう。ティミスはその次だ」
「なるほど、テメーはあいつらのことを舐めている様だな……」
「人間の成長速度と可能性を知らないのね。機械文明とそこに至った人間を愛していると言ったのに。結局のところは過小評価しているということかしら」
「私自身が超発展を遂げた機械文明そのものに過ぎない。それに近いレベルまで、力を貸してやったとは言え、近づいた彼らを愛でてやっているに過ぎんよ。所詮は気まぐれさ」
「気まぐれの割にここまでやってくれるとはな。最早天界への反逆は明白だ。堕天したいのか? 神魔大戦が近いというくらいわかっているんだろうな?」
「それにどう考えても世界に厄災を
「存在するだけで世界に影響を
分裂し、小さな八角柱レーザー砲台の形状になったデマキナの神器が、機械仕掛けの神衣のあちこちに装着される。更に体の周囲を多数の遊星の様に舞い漂っている。何処からでも、どの角度からでも神気のレーザーが発射されるに違いない。
輪列眼が高速回転する。デマキナの脳内に、ルクスとサーシャの移動・回避・反撃予測が計算・算出されていく。
「さらばだ、受けたまえ。
ガカァアアアア!!!
黄金に輝く神気がデマキナから発せられる。
「「うあああああああああ――!!!」」
その光に飲み込まれた二人はその場に力なく倒れた。
「……終劇だ」
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異常な強さを見せるデマキナ。
ここから反撃は可能なのか?
カーズならどうする??
続きが気になる方はどうぞ次の物語へ、♥やコメント、お星様を頂けると喜びます。執筆のモチベーションアップにもつながります!
一話ごとの文字数が多いので、その回一話でがっつり進むように構成しております。
今回のイラストノートは此方、
https://kakuyomu.jp/users/kazudonafinal10/news/16817330668263202586
そしてこの世界ニルヴァーナの世界地図は此方、
https://cdn-static.kakuyomu.jp/image/d5QHGJcz
これまでの冒険と照らし合わせて見てみて下さい。
そして『アリアの勝手に巻き込みコーナー』は此方です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330653661805207
アリアが勝手に展開するメタネタコーナー。本編を読んで頂いた読者様は
くすっと笑えるかと思います(笑)
そして設定資料集も作成中です。登場人物や、スキル・魔法・流派の解説、
その他色々とここでしかわからないことも公開しております。
ネタバレになりますが、ここまでお読みになっていらっしゃる読者様には、
問題なしです!
『OVERKILL(オーバーキル) キャラクター・スキル・設定資料集(注:ネタバレ含みます)』
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