6月12日(日)

折角の休日だというのに5時に目が覚めてしまった。勿体ないと思いながらまだ鈍っている頭を起こし、スマホを起動する。煌々と光るブルーライトが目に染みる。五本の指で数える程度の通知の中に、彼女はいた。


『今日はありがとう。とても楽しかった。また是非話したいな』


23時30分に来ていた通知。寝てしまって気が付かなかったようだ。淡々とした返信だが、「また」という表現から次もあることを察し、心を躍らせている自分に気がつく。いや、社交辞令かもしれないと自分を戒め、なぜ戒める必要があると自問する。傷つきたくないという保身には蓋をして、僕もまた会いたいという旨を返信して二度寝に入った。


次目覚めたのはカーテンから漏れる日差しが眩しかったからではない。スマホが異常な程に震えたからだ。


『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『不在着信』

『たすけて』

『家、行っていい?』


3分前の通知。まだ遅くはないだろうか。慌てて折り返す。1コールを待たずに彼女は出る。


『もしもし?出てくれてありがとう』

「どうしたの?」

『ちょっと色々あって……ストーカーが……』

「ストーカー?」


予想外の単語に驚く。彼女を救うのが最優先だと思った。


「とにかく家においで。今どこにいる?迎えに行くよ」

『もう近くにいるから大丈夫。ありがとう』

「分かった。家の前で待ってる」

『本当にありがとう』


そう言って彼女は電話を切る。そこから約5分後に彼女は現れた。そこでふと気がついた事がある。













僕はいつ、彼女に住所を教えたのだろうか。

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