両鳳連飛
宿敵と破戒僧
両鳳連飛1
「何やってんだお前」
「食事を摂っているんだが」
正反対に男は‘遅かったな’とでも言うようにあっけらかんと言葉を返す。テーブルにつき悠々と茶を啜るのは見知った顔、そう、確かにあの時────特にトドメは刺さなかったけれど。
「堂々と飯食ってんじゃねぇよ、【
呆れた表情で吐き捨てながら歩み寄る
「隠密だからといって
「そりゃ【十剣客】が無くなったからだろ。つうかなんでわざわざこの店で食うんだ」
「貴様が居るかと思って
そうしたら、たまたま
【十剣客】首領。今は、
「隣は嫌か?宿敵と並んで
窺うように
「別に俺ぁ【
「貴様こそ随分口が悪いな」
愉快そうに笑う男。オーラは柔和。
俺とタメくらいに見えるな…むしろ若干下か…?どちらにせよ口調よりは遥かに若い。思いつつ、
「飲めりゃいーんだよ飲めりゃ。んなことよか、お前の方こそ恨みねぇのか?俺に」
手の中で揺れる湯呑み。琥珀色の液体がユラユラと波打つ。
問い掛ける
「斬った斬られたは仕方が無いさ、お互い様だよ。それと…自分は、違うんだ…本当は。【十剣客】じゃないんだ」
首領ではあったけどなと呟き、次の句を
「…あっそぉ。だからあんなにアッサリやられたのか」
酒を
「手合いでそのような不義理を働く訳ないだろう。貴様は強かったよ、また仕切り直して
「へぇ。そりゃどーも」
言う通り、これ程の腕を持ち道を極めた者が剣を
「真面目そうに見えるか」
「実際そーだろ。わかるっつの」
「まぁ、自分は酒も煙草ものまないしな。面白味に欠ける男だよ」
「酒と煙草やりゃ
「しかし貴様はふたつともやるだろう」
「ふたつなんてシケたこと言ってんなよ。
「破戒僧のようだな」
「【
話をしているうちに着々と減っていく1羽丸々の
「じゃあ帰りに菓子持ってけよ。厨房に山程あんだわ、
「それは有り難い!妹が喜ぶ。
「そ。あいつも大食いだから、土産の加減がわかってねんだよな」
舌を出す
「その時は妹も連れて来ていいか?当主」
「当主はヤメろ、
舌打ちし、男のグラスに酒を
「呑まないと言ったのに」
「あそぉ?忘れたわ。お前も俺の名前忘れてたんだからこれであいこだな」
「忘れていた訳ではないよ」
違う違うと再び
「じゃあ何だっての」
「んー、いきなり呼んだら
「それ、勝手に押しかけて飯食ってるヤツのセリフか?」
「ははっ!そうだな!」
破顔する男に
「申し遅れたが…自分は
「だぁから、その堅っ苦しい話し方どーにかしろテメェは」
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