‘もどき’とぽっちゃり
偶像崇拝12
その後、車は途中で乗り捨て、
部屋に着くなり
あの三輪自動車は
その日は朝になるのを待ち、各々帰路についた。
ロックを解除するやいなや画面いっぱいに飛び出した恐ろしい顔のお化けに悲鳴を上げ、帰宅後も全く眠れなかった。
【天堂會】と【和獅子】の抗争の行く末は、翌日に判明。
死者多数、双方にかなりの痛手。【天堂會】はこの件に関して
〈我々はただ人々の幸せを祈り、尽くしているだけ。
だがUSBのデータもしかり、他方からリークされた殺人及びドラッグや臓器売買・地下室での人体実験の情報、マフィアや【和獅子】のメンバー達による裏取り等で、【天堂會】は段々と逃げ場を失くしていった。
ぬいぐるみやキーホルダーを全て無償で配ったり積極的に集会を開いたりとイメージ回復を図ったが────マフィアの制裁を恐れた闇医者達が運営から手を引くと、もはや信者も離れて献金もわずかな【天堂會】に手段は無く。
数週間後。
【天堂會】は、九龍の街から跡形もなく消えていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「良かったな、スーパーとカジノ無くなんなくて」
穏やかな昼下り。【東風】の店内で、椅子に座ってパイプをふかす
「成分の解析は出来ているんです…もう少し時間を下されば同等のドラッグを自主制作し、販売して、利益を出せますから…」
「うるせぇ死ねクソ眼鏡」
ゴニョゴニョ呟く
「ほんまに【天堂會】追い出してしもたな…やけどあいつら散々儲かったやろ、マフィアに
特売のチラシを広げる
載っているのは中流階級向けの質の良い食べ物なのに、他の店と比べてかなり安い。
今日
小さな方と並べると親子みたいで可愛い!と
これは
もともと香港から来たマフィア崩れも幹部にいたのだから、
とはいえ香港は九龍のような無法地帯ではないので活動にだいぶ制限がかかるだろうから、どんな宗教になるのかにわかに気になる。
前みたいにキーホルダーあったら貰ってくるよ、と
「よし、行こか
「待って
閻魔のような
「
「あいつが俺を助けてくれると思う!?」
言っといてなんだが、思わない。
けれど別に
「あれ?出掛けるの?」
【東風】のドアが開き、
「噂の激安スーパー行こうと思って。行く?」
「行かないで!!俺を助けて!!」
非道!!外道!!と泣きわめく
「あっ
道すがら、
ユラユラと揺れるそれは【天堂會】……ではなく、【天堂會もどき】のキーホルダー。
どうやら香港でゲットしてきた模様。
キャラクターは微妙に変わっていて以前よりかなりぽっちゃりしていた。これはこれで可愛い。
晴れた午後の九龍城。ぽちゃぽちゃとした愛らしいキーホルダー達が、太陽の陽射しを受けニコニコと笑っていた。
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