嘘八百と探検ツアー
偶像崇拝3
翌日。
キーホルダーを握り締めた
心労で今にも死にそうな
というのは建前で、ただワクワクしているのが
潜入捜査、なんて素敵な響きだろう。
いや、そもそも
そう意気込み、
「あのっ、
めちゃくちゃ子供っぽかった。
そのまま集会参加希望の紙に名前を綴ろうとした
[名前:西 年齢:20歳 住所:大井街]
[名前:空 年齢:10歳 住所:同上]
大嘘なうえに、偽名の決め方が適当だった。
「10歳はちょっと無理じゃない?」
「大丈夫だ、
「なにそれ」
コソコソ話しながら案内板を頼りにビル内を進み、会場のホールへ。中にはおおよそ50人程度の参加者が集まっていた。
【天堂會】の会員が紙コップに入った水とお菓子を配っており、
お菓子はよく見るパンダクッキー、どこかのお店で買ったもののようだ。水はキンキンに冷えていて、なんとなくいい香りがする。
一口飲もうとした
「菓子だけにしとけ」
言って、
どうして止めたんだ?なにか混ざっていたんだろうか?でもその割にゴクゴク飲んだな、と不思議そうに
そんな
甘さの奥に、相当注意深く
この程度じゃ大した作用は無い。
集会前にいくらかテンションを上げさせておいて、入信の勧誘成功率を高める狙いなのか。
完全に詐欺師の笑顔だったが、会員からまんまと未開封の500mlボトルを手に入れ
「ほれ、お前はこれ飲め」
「
「平気平気。大抵の
おかげさまで
胸に【天堂會】のバッジ。経営者側か。
「ご参加は初めてですか?」
「えぇ、弟に誘われて」
「弟はキャラクターが好きみたいで…俺はお祈りの効果に期待してるんすけどね」
「何かお切りになりたいご縁が?」
「そうなんすよ、悪縁ばっかで。神様にでも縋りたくなっちゃって…頑張って
発言を受けて、会員が2人の全身に視線を這わせたのを
服装、持ち物、健康状態。
値踏みしている。金があるのか、否か。
「貴方の信仰が本物であれば、必ずや応えて下さいますでしょう。まずはお話をお聴きになって頂ければ…もうすぐ始まりますよ」
そう言い残し会員は離れていった。どうやら中の中程度と判断されたようだ。
会場が暗くなり、スポットライトが当てられた雛壇に【天堂會】創立メンバーと
ここから2時間ほど集会は続く予定だ。
入れ代わり立ち代わり会員達が登壇し、お喋りをして【天堂會】の素晴らしさを説く。
どんなドラマが展開されるのかが気になるといえば気になるが、今日の目的はトークショーではない。
「もう少ししたら
「え、いいの!?」
「ったりめーだろ。
「よぉし!やっちゃお!」
【東風】ではそういう計画ではなかったが、予定は未定であるものだ。
さて…ツアーといってもあまり時間はない。
【天堂會】は信者こそ日に日に増えているが、創立メンバーや幹部の数はそこまでではないだろう。
全員が一日中このビルで過ごしている事もないはずだから、集会が終わるまで多分ホール以外はかなり手薄。今ならメンバー以外立ち入り禁止の場所にも誰も居ないと予想出来る。
そういった一般人侵入禁止エリアで、何かを隠していそうな所───。
「
「んー…大事なもの隠すなら上で、悪いもの隠すなら下かな」
「採用」
パチンと指を鳴らすマネをする
「どっちから行く?」
「上っ!」
ニヤリと笑う
登壇者が入れ代わり聴衆が壇上に気を取られている隙を見て、2人はこっそりホールを抜け出した。
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