第十五話 準備

「皆大丈夫〜」


「……なんとか」


「……一応無事です」


「……吹き飛んだけどな」


「本気で剣を振っちゃったから大丈夫かそわそわしたけど爆風で吹き飛んだくらいですんだようで安心安心」


 サリシアはさも平然ように言っているが普通後ろにいた人間が剣を振った爆風で吹き飛ぶのはおかしい。


「終わったのか?」


「終わりでいいんじゃね」


「サリシア様周りの敵は」


「大丈夫〜終わったよ~」


 一旦だけどね、これから大変だな。

 流石にこの大群がいきなりやってるなんてリアラの怪物の仕業だよね明らかに。

 オーガ達もそうだとしたら二日間で増えた理由もリアラの怪物が関わっていたとしたら納得するけど、そうすると何でもありだ。

 普通にまずい!!!

 私一人で相手取れるくらいで済んだらいいけど、まぁ無理な可能性のが高いかなこの感じは。

 

「まぁなるようにしかならないか」


 これからピリピリするだろうなサルマニア、しかも治療受けに来る人達も含めて。


「は〜」


 サリシアは今後のことを考えて大きなため息をつくしかなかった。


 

◆◆◆◆◆◆


「陛下に報告ありがとね。リーア」


「いえいえ調査員としても毎日報告を入れていたので、それにサリシア様の思っている通り本当にリアラの怪物だった場合は対策を取らないといけませんから」


「そうだね、私も対策の為に怪物達を相手にできる他の人達に会いに行かないといけなくなりそうだし」


「この国でですか?それとも他国の人でしょうか?」


「まだどんな具現化した怪物かわかんないから不明だけどそれによっては最悪両方もとい世界の全強者だろうね。大昔何回かあった世界の危機クラスじゃないとそうそう集まんないけどね」


 もし本当に世界の危機クラスであってもそもそもそんなすぐに集まれないんだけね。

 その間に何個かの街は滅んでいるだろうし国も消えているかもてか消えてたし。


「世界の危機ですか。災厄と呼ばれる原因となったいくつか戦いですね」


 リアラの怪物が世界の災厄になった戦い。

 酷いのはリアラの怪物のなかでもしっかり名前がつけられ歴史に記録として残っていた。

 もしもの時の為必死になった人達の意地と共に。


「サリシア様の今の感触ではもし相手がリアラの怪物であった場合世界の危機クラスに匹敵すると思いましたか?」


「そうだね、街一個襲うのと世界全部じゃ規模が違い過ぎるから怪物達の中でもまだまだ弱い部類だと思うけど………」


 先人が必死になって残した記録をある程度読んでいたサリシアは頭の中で今回のラグナの襲撃と照らし合わせ答えをだしていた。


「けど?」


「憶測でしかないけどゴブリンやデュラハンもしかしたらオーガも従えていたかもしれないと考えた時に思ったのは自分の仲間、配下って言うのかな、もしそれが無限に増えるならちょっとマズイかな。数っていう暴力ができる」


 数が多いとそれだけで脅威だしね。

 いくら私が辺り一帯を一撃で綺麗に出来るとしても限度があるし何より体力が持たないだろうね。

 ていうよりそんな一撃を防いでくる奴もいるだろうし。


「リーア含めて調査隊全員ラグナ残るんだよね」


「はい、陛下から今回のことを調べてくれと言われましたので」


 今回のことをっか陛下もこっち優先なら帰ってあの子連れて来るか。

 今は確か他国との交渉の為にサルマニアの最北の門にいたはずだし。

 リアラの怪物が出たかもしれないとなると他国の交渉なんてしている場合じゃないし。



「私は一旦首都に帰って怪物に備えて来るよ。陛下にも会わないといけないし、ラグナのこと調査隊に任せていい?多分怪物も出て来ないと思うから戦闘とかにはならないはずだし」


「出て来ないですか?」


「うん、アイツ等は自分の目的を何より優先するんだよ。目的が達成できないなら普通に撤退するから、と言ってもまだ目的どころか相手がリアラの怪物かどうかもわかってないから絶対にとは言えないけどね」


 さて、もう行かないと膳は急げってね。

 じゃ首都に帰って準備してくるか。

 サリシアは全速力で首都に帰って行く。

 ラグナに来た時はもしもの時の気合を入れていたがその比ではないではないほどのこのあとに命すら掛ける覚悟を持って。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る