13枚目『風花舞う街 ―フロイツァークメルツ―』

 お天気雪、所謂いわゆる風花かざはなが舞う街、フロイツァークメルツ。陽光にきらめく冬の欠片かけらは、冷たさの中にはかなさをはらむ。


 風に吹かれて、天衣無縫てんいむほうに舞う雪の花。その幻想的な光景は、なんと例えようか。


 しかし、この町の人々はこの光景に見向きもせず、各々おのおのの目的地に向かっている。


 人々を目で追っていると、ある石碑せきひが目に入る。


『風花の舞う空をあおぐ者、この街の者にあらず』


 見慣れてしまうと、感動的な光景にすら興味を示さなくなってしまうのか。

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