2枚目『春の先駆者 ―旅の途中・オオイヌノフグリ―』

 積もった雪も解け切って、枯草色かれくさいろの大地が再び姿を現す季節。道端みちばたに目をやると、所々に他の色が、春の息吹いぶきが宿り始めているのが感じられる。


 その中でとりわけ目立つのは、枯草色にも、若葉色にも映える、可憐かれんで小さな青い花。まるで、春の空を地面に降らせたかのような色合いの植物、オオイヌノフグリ。


 生命の枯果てた世界をいろどる為に降り立った、無垢むくな春告げの使者だ。まさに春の先駆者せんくしゃ。いや、春告げ精と言うに相応ふさわしい。

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