第3話 服
俺とソーレは大通りを歩いていた
ソーレは下を向いて歩いている
色々聞きたい事はある、が……
「とりあえず、服を買おう!」
ソーレが今着ている服は服と呼べない位に傷ついている
横から覗こうと思えば見えそうだ……この問題は直ぐに解決しないと!
「で、でも私、お金持ってないよ……」
「大丈夫、借金はあるけど、最低限の生活ができるだけのお金はあるから」
「私、これ以上、リヒトに迷惑をかけられない」
そう言われても……な、
「その格好で歩かれるほうが困る」
ソーレの手を掴んで近くにあった服屋に入る
「いらっしゃいませー!本日はどのようなご用件ですか?」
明るい店員に声をかけられる
「彼女に合う服と下着を数着下さい」
「かっしこまりましたー!少々お待ちください!」
「あぁっ、」
店員は戸惑っているソーレを連れて店の奥に姿を消した
近くにあった椅子に座り込み俺は待ちながら考える
まず、俺の知っている情報を整理しよう
ソーレは八年前に西大陸にある帝国の貴族の隠し子だった事が判明して、それからは帝国で貴族として暮らしているはずだった
が、今は東大陸の王国で婚約者の兄を殺したとして奴隷堕ちしていた
ソーレは本当に婚約者の兄を殺したのか?
殺したとして、その理由はなんだ?
て、今考えても情報が少なすぎて分かるわけないな、後で直接聞いてみるか
「できましたよー!ついでに回復魔法もかけておきました!」
明るい店員とソーレが戻って来た。傷が治ったソーレは品のいいワンピースに身を包んでいた
「どうです!?どうです!?とてもよくお似合いだと思いませんか?」
店員の勢いが凄い
「かっ、可愛い……、、いや、これは……可愛すぎる!!」
驚いた、着ている服が違うだけでこんなに変わるものなのか
髪も整えられていてソーレは可憐な女性に変貌していた
「ですよねー!お客様もそう思われますよねー!」
明るい店員は同調するように笑みを浮かべた
「ええ!特に!整えて下さった美しい髪と白を基調としたワンピースの親和性がもう悪魔的です!可愛すぎる!こんなに素敵な女性がこの世にいるというだけ生きていける!ああ!俺はな」
熱く語り過ぎていると服の袖を引っ張られる
「……も、もういいからぁ」
ソーレは赤面していた
「ごめん……熱く語りすぎた……」
「随分、仲がいいカップルなんですねぇ」
「カップルというわけでは……」
傍から見たらカップルに見えるのか
「えー!こんなに仲良しなのにカップルじゃないんですか!?奴隷紋も無いのにあんな格好で!しかも傷だらけで店に連れてくるんだから何か変態的なプレイの最中かと思いましたよ!」
「それは、まあ、事情がありまして」
さっきまで奴隷だったなんて言う必要ないよな
「カップルだったらカップル割りでお安くできたんですけどね~」
「何……!?」
ソーレには最低限の生活ができるお金はあるといったが正直、かなり崖っぷちだ
なら、ここは……
「ソーレ、ここは話を合わせてくれ」
店員には聞こえないようにソーレに耳打ちする
ソーレは僅かに頷いて返した
「あ、あ~~ううん、実は俺たち本当はカップルなんですよー」
「ええ!?やっぱりそうなんですか?」
「なーソーレー」
「ね、ねーリヒトー」
ソーレも上手く合わせてくれてるし今のところぼろも出ていない
このまま――いける!!
「でしたら恋人割で最大半額で購入できますよ!」
よっしゃー!何だか知らないが簡単だな、恋人割!言うだけで半額とは
今の試着しているワンピースの他にも下着を合わせて数着買うつもりだったからな、それなりにの出費を覚悟していた……が、半額で買える!とても助かる!!
恋人割!最高ー!
「では!恋人らしい事をしてもらいまーす!」
「……え?」
◇本日の21時にまでにもう3話投稿します!
フォローしてお待ちいただけると嬉しいです!◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます