トプカプ戦記――名門半端魔導師は小さな人馬に求婚される
伊佐良シヅキ
用語解説
魔法
魔導師が使う術。魔導師の体内での魔素変換と術者の想像力、それらを紐付けする呪文の詠唱で発現する。
魔法を使う際は最初に
主に日常魔法・戦闘魔法・治癒魔法・研究魔法の四つに分けられ、術が高位になるほど体内に取り込み放出する魔素が大きくなり、特に取り込む魔素量が膨大になる戦闘魔法を使う軍人魔導師や研究魔法を使う学術魔導師は、取り込める魔素の閾値で格が決まる。
魔杖(まじょう)
魔導師が使う杖。主に魔素を通しやすい性質の木や金属で出来ており、魔素や魔法の術式の複雑さの許容範囲で以下の種類に分けられる。
・主に日常魔法~低位魔法を使うのに用いる二十サンチャーン程の『短杖』
・主に軍人魔導師や学術魔導師が中~高位魔法を使うのに用いる『大杖』
・他の武器と一体化した性質を持つ、低~中位魔法を使うのに用いる『騎杖』
このうち大杖や騎杖など戦闘用の杖には後述の魔法ダイナモが搭載されている。
現在の杖の種類は竜銀・灰銀鋼などが主流で、一部の洒落者の魔導師などが彫刻の
施された木の短杖を使ったりする。
魔法ダイナモ
アンジーリア王国で開発された魔杖装置。
液体化された圧縮魔素の入った管を杖の内部で燃焼することで、膨大な空間中の魔素を取り込むことなく高位魔法を行使することが出来る装置であり、中~高位魔法にあった魔素取り込みのタイムラグを無くし、瞬間的に発動することを可能とした。
ただし使用の際には魔素が一気に放出・取り込まれることで生じる精神痛があるため、短時間で乱発したりすると精神痛で動けなくなる・判断力が鈍るなどという欠点もある。
亜人
人間社会に順応した純人以外の動物の特徴を持つ種族や、人間社会に順応した魔族やその子孫の総称。
適材適所の生き方をする者が多く、特に亜人の総人口の多いミッテルラント帝国ではそれがマッチして国力や軍事力を伸ばす原動力となった。
一方で慣れない環境で苦労する亜人も多く、純人からの差別感情・魔族由来の者への差別感情などもあったりする。
飛行艦
魔法ダイナモを応用した技術で力場魔法を発生させる魔法装置に魔素を供給することで空を飛行するする乗り物。
多くは外皮に軟鉄・骨組みに鋼が使用され、推進装置には蒸気エンジンを用いる。葉巻状の船体を持ち、船体の大部分は供給魔素や燃料、水のタンクとなっている。
兵装を備えた戦闘飛行艦・貨物積載スペースを有する貨物飛行艦・小型高速の哨戒飛行艦などがあり、世界でもミッテルラント帝国が保有数第一位を誇っている。
高度限界は概ね6000チャーン程度、最大速力は時速200~280カムチャーンほど。
魔素通信(魔信)
魔法装置で通信内容を載せた状態で圧縮した魔素を魔素導通素材のケーブルや大気中に放つことで、遠隔通信を行う装置。
魔鍵と呼ばれるキーを叩いていわゆる『トン・ツー』信号で伝えるタイプと肉声をそのまま伝えるタイプがあり、前者は民間にも広く普及しているが、後者は装置の複雑さから飛行艦の発着管制や軍司令部間通信などまだほぼ軍用でしか使われない。
灰銀鋼(はいぎんこう/アッシャーズィルバー)
鋼の一種で、ザファラン鋼とも呼ばれる。転炉で鋼に竜銀とザファラン石の粉末を投入して出来る合金鋼で、普通の鋼と比べて高い対腐食性・魔素導通性を有する。
純粋な竜銀と比べると重く光沢が鈍い、対
竜銀(りゅうぎん/ドラッヒェンズィルバー)
銀竜と呼ばれる竜種の鱗を構成する金属。銀竜が生きている間は高い硬度や対熱性を持つが、生体魔素を帯びていない死骸や脱皮片の鱗は加工可能な程度の硬度になっているため、そこから精製・加工される。
美しい光沢、硬度や魔素導通性、軽さや耐腐食性や対竜焔性の高さから古くから武具や魔導具、装飾品の材料として使われていたが、加工が難しく手間がかかるため、過去は非常に高価な品だった。
作中の時代には火・雷魔法を使った魔導炉の発明により加工の手間が少し省け、竜銀製品は手に入りやすくなっている。
硬度こそあるが鋼に比べて靱性が低く、そこが弱点でもある。
チャーン
ミッテルラント帝国やメアリス王国など大陸諸国で使用される長さの統一単位。
1チャーンがおよそ1m、1サンチャーンがおよそ1cm、1カムチャーンがおよそ1km。
ミッテルラント帝国
北方大陸の西部中央を治める帝国。
劇中の時代の150年前に発布された統一条約によって、ユーラヒル公国が瓦解寸前であった旧神聖同盟帝国領や諸侯領を併合し、統一したことで生まれた国。直後に周辺諸国や魔族からの侵攻(統一戦争)を凌ぎきったことによって盤石さを得、今に至る。
統一戦争で見せた魔導師の活躍や魔族との戦いでヴィルヘルム皇太子(のち皇帝ヴィルヘルム一世)の見せた高い魔導師としての素質から「人族の魔王の治める帝国」と言う通称を持つ。
元々亜人種の多かった大陸中央の諸侯領を強引に併合したため成立時から多種族・多民族国家で、そのこともあり機会主義・実力主義的な風潮が強い。
現在は高い工業力と軍事力を背景に周辺諸国に睨みを利かせているが、北の魔族との国境での魔王軍とのにらみ合いや海上でのアンジーリア王国とのにらみ合いが続く。
神聖ヴェスティア帝国
かつてのミッテルラント帝国領に存在した同盟国。通称神聖帝国。
12の選帝侯と呼ばれる領主の家の中から秀でたものを皇帝として選んでいたが、末期にはそれぞれの思惑や成り上がりを試みた領主が出たりと帝国内内乱が勃発し、国力と結束が弱ったところを南のメアリス王国や北の魔王軍などに蹂躙され、劇中の時代の200年前に帝国は事実上瓦解した。
因みにシュリーフ家は神聖帝国時代の選帝侯であるツーヤ家の傍流子孫である。
魔族領
ミッテルラントの北に位置する、魔王グスウィンとその配下の魔族が治める土地。
かつてはより北に人魔国境が位置したが、神聖帝国瓦解の際に帝国領に侵攻しその版図を大きく広げた過去がある。
ミッテルラント帝国・魔王グスウィン共に失地回復や更なる侵攻の構えを隠さず、現在も城塞都市ヴァッケブルグを挟んで睨み合いや小競り合いが続いている。
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