GOSPEL PAIN ~「穀潰し」と呼ばれ村を追われた病弱少女、不死の力を授かり世界を救う聖女となる~
スグリ
プロローグ
高い、高い空の上。
『当施設にて深刻な災害が発生しました。お客様及びスタッフは速やかに退避してください』
雲より高い塔の上。
『繰り返します。当施設にて深刻な災害が発生しました。お客様及びスタッフは速やかに退避してください』
海と大地を包み込む天輪の中で。
「来たか、最後の剣士よ」
「語る気はない」
片や世界に厄災を振り撒く魔神の王。
対峙するのは、一人の剣士。神と相対するには余りにもちっぽけで、しかし数多の戦いを経てここまで辿り着いた人間の剣士。
「最早我らの間に言葉は不要か。幾度も繰り返したこの戦い、今こそ決着をつけようぞ」
「魔神の王……」
世界の存亡をかけた最後の戦いが、今ここに始まる。
「あなたを……殺す」
剣士の鋭く美しい剣の切っ先は、殺意のこもった視線の先は。真っ直ぐと、ただ真っ直ぐと、一切の迷いもなく魔神の王へと向けられていた。
エルマディーラ神聖王国、王都大神殿。
「これは、おお……っ!」
「おお、ついに視えましたか」
「これより、神より授かった預言を伝える……!」
巨大な神殿の儀式の間で、神官たちに囲まれながら預言者は神から授かった預言の内容を告げる。
「空高く、雲を突き抜けそびえ立つ天の柱。その頂の天輪にて、魔神の王は打ち倒されるであろう。その勇者、神の加護を受けし剣士なり!」
「なんと……!」
「魔神王がついに!」
魔神王。
それは人類を、世界を脅かす最悪の厄災。人と魔物との千年に渡る戦いの元凶にして、魔の絶対者。
今まで人間の手などとても及ばなかったそれを討ち果たす道標が今、天より示されたのだ。
「預言の内容を直ちに王宮と大神殿へ伝えろ!」
これより多くの若者たちが神の加護を受けた剣士、加護の剣士として旅立ち、戦い、そして死んでゆく事となる。魔神王を討ち果たす為。予言の場所、天の柱を目指して。
そして王国の王都近くに位置する小さな農村、ミクル村。
ここから、一人の少女の長い、果てしなく長い物語が始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます