第7話

 ゼファー・クリミナルドです。母さんにボコボコにされた日から1ヶ月が経過した。この1ヶ月で新しいスキルを習得できた。『身体強化魔法』『回復強化魔法』『抵抗強化魔法』『剣術』『体力回復強化』のスキルだ。それぞれ、


 身体強化魔法:身体能力を向上させる。lvが上がると消費魔力が下がる。

 回復強化魔法:回復能力を向上させる。lvが上がると消費魔力が下がる。

 抵抗強化魔法:抵抗能力を向上させる。lvが上がると消費魔力が下がる。

 剣術:剣の性能を向上させる。剣を使っている時の身体能力を向上させる。lvが上がると効果が増える。

 体力回復強化:体力の回復力を向上させる。lvが上がると効果が増える。


 とある。『回復強化魔法』と『体力回復強化』の違いは前者が魔力を消費して実感できる速度で体力の回復や傷の治療をする。対して後者は魔力を消費しないで常に効果がある。おかげで倒れている時間や寝ている時間が短くなった。

『身体強化魔法』『回復強化魔法』『抵抗強化魔法』の肉体魔法は自然魔法と比べてはっきりとしたイメージが必要ではない分、無意識に使っていることがある。今回もボコボコにされている時に使っていたと思うがあまり変わった感じがしなかったうえ、魔力を消費した感じもしなかったのできづかなかった。

 母さんとの模擬戦が始まる前に『身体強化魔法』を使ってみようと速く走るイメージで走ってみたら足がもつれてこけた。体の感覚が違いすぎて制御が難しい。しかしこれができるようになれば強くなれるはずだと何度も制御できるように挑戦しているができる気がしない。毎回強化の加減が難しく走るというより跳躍になるか左右の足が出る速度が違いもつれてこける。どうするか悩んでいると母さんが来てボロボロになってどうしたのか聞いてきたので今やっていることを見せると、


「それなら『身体操作』のスキルを意識して使いなさい。何のための前提スキルなのよ。それに模擬戦の時は制御できていたじゃない」


 とあきれたように言ってきた。確かに模擬戦のときは制御できていたが無我夢中でどうやっていたのか覚えていない。とりあえず『身体操作』を意識してやってみると跳躍になることはなくなったがそれでも三歩目でこけそうになる。それを見て、どんなイメージでやっているのか聞いてきたので速く走る自分のイメージと答えると、


「速く走るだけだと足だけの強化になるわ。それでバランスが崩れているからこけそうになるのよ。『身体操作』のlvが上がれば部分強化でも問題なくなるけど今はlvが低いから身体全体を強化するイメージでやりなさい」


 身体全体の強化にすると格段に走りやすくなった。それでも油断するとこけそうになる。後は慣れるしかないと模擬戦をしようとすると


「それと今日の模擬戦はなしよ。前に言ってた薬師から各種状態異常の毒薬ができたと連絡が来てたから取りに行ってくるわ。弱い毒を頼んだけど強すぎないか戻ってきたら飲んでもらうわ。それじゃあ」


 そう言ってすごいスピードで走っていった。あれには追い付けないと思いだから置いて行ったのかと思った。とりあえず30分ほど『身体強化魔法』の練習をしていると母さんがバックを持って帰ってきた。


「はい。これが毒薬よ。それでこっちが解毒剤。問題がないか飲んでみて」


 そう言って試験管のようなものを渡してきた。色はどちらも緑で濃さも同じくらいなので見分けがつかないが混ざったら大変そうだと言うと、


「何のための鑑定魔法よ。それに普通は色分けをしてわかりやすくしているから大丈夫よ」


 それはよかったと思いつつ毒薬を飲む。苦かった。すぐに体中が痛み、痺れてくる。そこに眠くなってきて痛いのに眠いというおかしな状態になっているがどれも我慢できる範囲だ。それを見て


「とりあえず大丈夫そうね。しばらくはまた素振りね。ただし今回は『身体強化魔法』を使いつつよ。あとこれ追加の毒薬よ。効果が切れたら飲みなさい。どのくらいで効果が切れるかわからないからたくさん出しておくわね。それと回復薬よ。弱いといっても毒なのだから念のため毒薬を飲むたびに飲みなさい」


 そう言ってバックから次々と毒薬と回復薬を取り出していく。バックに収まりきらない量を取り出してもまだ取り出していく。もしかしてアイテムボックスとかそういうあれだろうか。聞こうと思うも痛みと眠気でそれどころではないため泣く泣く我慢した。木剣を持とうとすると痺れでうまく持てない。それでも何とか持ったが小刻みに震えて力が出ない。『身体強化魔法』を使おうとするが痛みと眠気で『魔力操作』が乱れる上、イメージができない。これは状態異常を一人の時にくらうと何もできなくなる。対策は必要だと思いつつなんとか『身体強化魔法』を使うが魔力が偏ったりイメージが途切れる。それでも素振りをするが、最初のころよりもひどい出来だった。だがこの状態でもしっかり剣を振れるようになれば状態異常への対策が不要になる。

 そうして素振りをしていると1時間ほどで毒の効果が切れた。思わずへたり込んでしまった。汗もすごく今までで一番つらいがその分強くなれると思い、時間を無駄にできないと毒薬と回復薬を飲んで素振りに戻った。

 そうして日が暮れるまで素振りを続けた。

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