ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!!~世界が滅びる未来を知った五人の少年少女はヒーローになる約束をした~
第1話 「ズーンッ!」からの「バイーンッ!!」からの「ギューンッ!!!」 15 ―愛のビンタッ!!―
第1話 「ズーンッ!」からの「バイーンッ!!」からの「ギューンッ!!!」 15 ―愛のビンタッ!!―
15
『ゆきぃの攻撃の後は、次は四人目! あいちんの番!』
『私?』
夢に指を差された愛は首を傾げた。
『うん! ゆきぃの攻撃を受けたスケスケ男は、さっきの二パターンの内のどっちのパターンを取ったとしても、ブッ飛ばされて本郷の空をヒラヒラ~~って飛ぶ! そんなスケスケ男に、シュッシュッ!! あいちんのパンチとキックをお見舞いして!!』
『えっ?? でも、私って空飛べないよ? ヒラヒラ……してるなら、飛べないとじゃない?』
『大丈夫! そこは私のサポートが入るから!!』
「ぐわぁっ!!!」
ガキユウシャの次に登場したガキアイシンはトウメルカメレオンの背中を蹴り上げた。
地面に向かって落ちていたトウメルカメレオンは再び高く宙を舞う。
「オリャリャリャリャリャリャリャーーーー!!!!!!!」
再び高く舞ったトウメルカメレオンを追い掛けて、ガキアイシンはパンチ、パンチ、キック、キック、キック、パンチ、キック、パンチ、キック………連打、連打、連打、連打………空を飛べない筈のガキアイシンだが、その背中には羽があった、桃色の大きな羽があった。
『大丈夫! そこは私のサポートが入るから!!』
昨晩、夢は言った。
『あいちんには私の能力を使って大きな大きな翼をプレゼントするよ!』
『翼を? 私に?』
『そう! ボッズーみたいな大きな翼をあげる!』
……と、夢はニヤリと笑った。
『大きな翼でパタパタパタパタって飛んで!!!』
「ぐわっ! うぅっ!! ……何でこんな目にぃーー!!!」
アイシンの攻撃をくらいながらトウメルカメレオンは叫んだ。
この叫びにアイシンの怒気は強まる。
「当たり前だ!! ストーカーやって! 次には人間なのに《王に選ばれし民》に力を貸して! 更に今度はバケモノになるなんて! 一回痛い目を見ないと分からないだろ!!!」
アイシンの拳がドゴンッとトウメルカメレオンの顔面を打った。
その勢いは凄まじく、殴られたトウメルカメレオンは隕石が如く地面に向かって急降下……しかし、猛スピードで追い掛けてきたアイシンが、地面に落ちる前のトウメルカメレオンを再び蹴り上げ、またまたトウメルカメレオンは空に向かって飛んでいった。
「ぐわぁーーー!!! 何で落としてくれないのぉーーー!!!」
ロケットみたいに飛び上がりながらトウメルカメレオンは叫んだ。
「どうせ私の人生は真っ逆さまなのにぃ!! 何故、今私は飛んでいるぅーーー!!!」
「人生真っ逆さま!! 何でそんな事言うの!!」
アイシンの再びの猛スピードからの追撃。それはまるで叱る様に放たれた強烈なビンタだ。
「うわぁ! ……だって、あなたの仲間のせいですよ!! あなたの仲間が私を町なかで堂々と追い掛けるから!! 目撃者が多くて、私は《王に選ばれし民》の仲間なんじゃないかと噂を立てられて仕事をクビなったのですぅ!!!」
「それって先輩の………約二週間前の事件の事?」
「そうです、十三日前の!!」
「だったらそれは噂じゃなくて真実でしょ!! 全部自分のせいでしょ!!!」
アイシンは連打を繰り出しながら、
「ぐわっ!! そ……それはそうですけど! でも、配慮が欲しかったぁ!!!」
トウメルカメレオンは連打をくらいながら、
「それで、せっちゃん達を逆恨みして、やり返す為にバケモノになったの!!」
会話を続けた。
「いいえ、違います!! 私は仕事を失ったのであれば、ぐわっー!! せめて幸せが欲しかった! うぅ……痛い!! 彼女が欲しいと思った!ひぇっー! だから夜な夜な大人しそうな女性に声をかけて……ギィッ!! だが全てフラれたぁ!!! そしたら空から花弁みたいな物が降ってきてぇ~~」
「バケモノになっちゃったの?」
「そうですぅ~~!!」
「だから、バケモノになったら女性ばかり襲ってたって事?」
「いいえ! 襲ってるつもりはありません!! だって、バケモノの力を得る前からやってる事に変わりはありませんからぁ!!!」
「やってる事に変わりはない? どういう事? 後ろから抱きついたり、体を触ったりしてたんでしょ!! それはバケモノになって透明になれるようになったから始めた事じゃないの?」
「いいえ! その前からです!!」
「はぁあ???」
「だって仕方ないでしょ!! 可愛い子がいたら、衝動的に、本能的に、勝手に体が動いてしまうのは!!! でも、勿論『お茶でもどうですか?』と声をかけながらですよ!!! それなのに、皆『キャァ!!』と悲鳴を上げて……ヒドイ!! そのせいで私はバケモノに!!!」
「酷くないわぁ!! このド変態がぁ!!」
アイシンは両拳を合わせ、まるでハンマーの様にしてトウメルカメレオンに向かって振り下ろした。
「ぐわぁッッッッ!!!!」
ピューーーッと音を立ててトウメルカメレオンは地面に向かって急降下……しかし、今度のアイシンは追い掛けなかった。落ちていくトウメルカメレオンを睨みつけ怒鳴るだけ。
「勝手に体が動いた? 何言ってんだ、このド変態野郎! お前の言い分全部逆恨みじゃんか!!」
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