第4話 王に選ばれし民

第4話 王に選ばれし民 1 ―英雄に休息はいらない―

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「あぁ~~腕がパンパンだぜ……」

 ガキセイギはジャスティススラッシャーを撃ち出して軽くなった大剣を両手から片手に持ち変えて、腕に溜まった疲労感を吹き飛ばす様に右腕、左腕の順にグルグルと回した。


「それは勝利を讃える疲れだボッズーよ! やったな! 良くやった! 流石だボッズー!!」

 ボッズーの顔はニッコニコだ。本当に嬉しそうな笑顔を浮かべている。しかし、


「待て待て、ボッズー、喜ぶにはまだ早いぜ!」

 セイギはそれを止めた。そして、紅の穴を指差して

「まだ穴が開いたままだ。俺達の目的はあの穴を塞ぐ事だろ?まだ安心は出来ないぜ……」

 と言うが、


「それは分かってるボズ! だけど、お前のやった事は凄いボズ! 少しくらい褒める時間をくれても良いだろボッズー! 流石だボッズーよ!!」

 ボッズーはやっぱりセイギを褒めた。

 このボッズーの褒め言葉にセイギは、


「う……う~ん………」

 と悩んだが、

「そう?」

 すぐに調子に乗った。

「マジで? 俺、そんなに凄い?へへへっ!」


「うん! スッゴいボッズーよ!!」


「へへへっ! そっか! 凄いか!!」

 セイギは『へへへっ!』と笑ってはいるが、仮面の奥の顔はおそらく『デュヘヘ!』と笑っているのだろう。


「うん! うん!!」


「へへへっ!」


 二人は笑い合った。



 しかし……



 その笑顔もすぐに消える。


「ん?」


「え?!」


 ほんの些細な戯れすらも、敵は許してくれなかったんだ。空が割れたあの時と同じく、耳をつんざく轟音が聞こえてきたから……

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